ユダヤ教、キリスト教、イスラームの共通点と相違点

 以下では、ユダヤ教、キリスト教、イスラームの共通点について論じる。


・共通点

 まず、ユダヤ教とキリスト教とイスラームの三宗教は、「アブラハムの宗教」と呼ばれていることを指摘しておきたい。その他に「セム族の啓示宗教」と呼ばれることもあるが、本稿においてはもっとも一般的な「アブラハムの宗教」で統一しておきたい。なぜ「アブラハムの宗教」と呼ばれるかというと、この三宗教の全てにおいてアブラハムは最初の預言者とされているからである。なお、「アブラハムの宗教」というとマニ教やバハーイ教ーが含まれる場合もあるが、ここでは狭くユダヤ教とキリスト教とイスラームのこととしておきたい。

 アブラハムの宗教は、全て一神教である。それも別々の神を信仰しているわけではなく、同じ唯一神を信仰しているのである。

 また、その啓典は宗教によって違うが、共通している啓典がある。ユダヤ教では「トーラー」、キリスト教では「旧約聖書」、イスラームでは単に「モーセ五書」や「詩編」と呼ばれる啓典のことである。ただしこれらの啓典の扱いについては各宗教でかなりの差がある。

 さらに、アブラハムの宗教は全て偶像崇拝を禁じている。ただ、キリスト教は教派によっては偶像が存在する場合もある。


・相違点

 この項目では、それぞれの宗教を概観しながらその特徴と他の宗教との差異を論じていきたい。

 最初に、ユダヤ教についてである。ユダヤ教においては選民思想とメシア思想が特徴的である。ただし、イエスをメシアだとは認めない。また、単に信じればいいのではなく、入信までにさまざま厳しい決まりがある。唯一神ヤハウェを信じる。

 次に、キリスト教についてである。キリスト教においては三位一体論とその多様性、また原罪や贖罪や再臨思想が特徴的である。イエスをメシアとし、イエス・キリストと呼ぶ。キリストというのは「救い主」という意味で、そう表現するだけでイエスを救い主だという信仰告白をしていることになる。父なる神と子なるイエス・キリストと聖霊を信じる。

 最後に、イスラームについてである。イスラームにおいてはその戒律の厳しさと社会的色合いが特徴的である。いわゆる六信五行を大事にし、唯一神アッラーを信じる。イエスも預言者の一人であることは認めるが、ムハンマドを最後の預言者とし、「クルアーン」を最も重要な啓典とする。

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