正義、不適な笑み、転生

 一人の男と二人の女が皆不適な笑みを浮かべて丸テーブルを囲んでいる。若い女は紙に正義の二文字を書き他の二人に見せる。男はそれに対してなるほどと相づちを打つ。

「なるほど、正義せいぎか」

「ちがうわ、正義ジャスティスよ」

 若い女は男の間違いを指摘する。男はそういった発想もあるかと感心する。

 老婆は二人のやり取りを見てやれやれといった表情をしている。そして老婆も紙に何かを書き出す。

「こんなのはどうかしら?」

 老婆は空と書かれた紙を二人に見せる。

「なるほど、スカイね」

「ちがうわ、そらよ。」

 老婆は若い女の間違い指摘する。すると若い女はふざけたことをするなと老婆へ怒る。すると老婆もどちらがふざけているのだと応戦する。男は間に入り仲裁しようとするが二人からどちらの味方なのかと問い詰められてしまう。



 そんな光景を少し離れた場所から見ていた赤ん坊は、おばあちゃん頑張れと必死に叫ぶ。

「せっかく平和な世界に転生できたのに正義ジャスティスとかスカイなんて呼ばれたくない」

 赤ん坊は必死に叫ぶがまだ言葉にならない泣き声が部屋に響き渡るだけだった。

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