｢……むしゃっ？｣

ちょっとだけ不服そうな声で、斜めを下を向きながらこいつは答えた。

｢もったりしてるのと、憂鬱な感じが『む』で、ちょっと楽しみなのが『しゃっ』。｣

真面目腐った顔でそんなことを言うものだから笑いそうになってしまう。

さっきの『しゅうぉん』よりはしっくり来なかった。

でも、頑張って私の言葉の通りに考えた『むしゃっ』も嫌いにはなれなかった。

｢…『む』の負担大きすぎるでしょ。もっと考えようよ｣

クスッと笑った私と一緒にこいつも笑った。

その笑顔にちょっとだけ、前みたいに、ドキッとしてしまった。

｢…やっぱそう思う？なんか『む』の後に入れたいんだよ、でも何も思いつかなくて……。｣

｢……『に』は？なんとなく、な行って憂鬱じゃない？｣

｢よく分かんねぇけど、芳夏が言うからなんとなく分かるかもしんない｣

｢なにそれ、、｣

呆れた顔を見せたのは、私の精一杯の抵抗。

学年首席のこいつにとって、ちょっとでも優位でありたいっていう私のほんのちょっとの意地。

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