第6話 元康の姉さん女房の悪知恵

「ただ蹴鞠を披露するのも味気なくはないですかお館様」

と瀬名が言ってくる。

「どういうことだ」

「この人結構織田から誘われてるでしょ。でも私にぞっこんだから親方様についてる」

「な、何を言い出す瀬名」

 元康が焦った声を上げた。

「元康には感謝してるよ、まじで」

俺は神妙な口調で言う。


「いっそ、この人に蹴鞠でおお恥かかせてやって欲しいんですよ」

俺は義元の姪だったこの女が策謀好きであったというウィキ情報を思い出す。

「恥かかせてどうなる」

と、俺は得体の知れない興奮を感じながら問うた。

「そしたら、織田に色々期待させられますわよ」

「……なるほど。そういうことか」

俺と元康は同時に声を上げた。

「え、どういうこと」

瑠璃は一人話が見えないようで、皆の顔をうかがっている。

「織田の使者の前で蹴鞠で恥をかかされ私は、親方様を深く恨む」元康は愉快そうに盃を揺らす。

「あんたはぶち切れて、今川の支城をおそい、織田に後詰め(援軍)を頼むのさ」瀬名はペシリと年下の夫の背中を叩いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生したらザネ(氏真)ってた<ロリコン教師がー教え子と戦国転生> 不燃ごみ @doujjimayu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ