第23話 反撃、開始っ!
「よいしょ」
雲から飛び降りて、元の位置にもどる。
あいつは、ウサギとカニの仲間割れに気を取られてる。
いや、気を取られてるかはわからないけど……少なくとも、驚いてはいるでしょう。
だから、今が逆転のチャンス!
あの手紙に書いてあったこと。私以外で攻撃するってこと。
それをいまから実行してくれるはず。
反撃開始!なんて声にだせないけど、少なくとも、私たちはお互いの動きが見れる。
短い時間だけど、重ねてきた友情とかは、絶対にニセモノじゃないっていいきれる。
だから私は、あいつに見つからないように、陰でサポートする!
まず、ゆずちゃんが動き出した。
日を火に変えてあいつの周りに円状に置き、一、二、三で襲わせる。
うまくいった!
「ごめんね、よけちゃった。」
上っ!
ばっと見上げると、黒のパーカーがひらひら、風もなしに揺れていた。
……まぁ、そう簡単には捕まってくれないよね。
私たちが、戦おうと決めた時、もう一つだけ決めたことがあった。
和解、できればいいのにねって。私たちは殺さないで、捕まえようねって。
確かに、これまでに何人の人がココロを奪われていったのかははかりしれない。
でも、だったら、私たちは同じ道を進むべきではないでしょう?
許せるわけがない。でも、殺したり痛めつけたりしてそれが気持ちよく解決することはない。
それに、正義の反対は必ずしも悪ってわけじゃない。
もちろん言葉の世界ではそうだろうけど、そんなに世の中は簡単じゃない。
悪の反対が悪なこともあるし、正義の反対が正義なこともある。
今の私たちが正しいことをやってると思っていても、相手からしたら私たちの方が悪かもしれないから。
私たちは、そらぞらで、どうやって闇霧と戦えばいいのかって教えてもらってない。
でも、そっちの方が好都合じゃない?
こういうことは、自分で見つけなくちゃだめだからっ!
それで見つけ出したのがこの答え。あってるも間違ってるもないから、自分の道を進もうってきめたんだ!!
倉畑くんが高い所にすごくおおきな風を吹かせて、あいつはやむなく木から降りる。
人は、空中だと思うように動けないから最大のチャンス!
雪と雨からするどい雹を作った二人が、一方が上、一方が下からあいつにけしかける!
それでもあいつは、いとも簡単に、体の向きをかえて、着地する場所をずらす。
だったらその視界をふさいであげる!
私はうっすーい雲をたくさん作って、木の裏側にいくつか設置する。
それを風で倉畑くんに運んでもらって霧のような状態を、あいつのまわりにだけ発生させた。
よしっ!うまくいった!
倉畑くんが地面を見失ったあいつを強風で煽り、あいつは体勢をくずす。
あいつがこのまま体を打ち付けて、一時的に動けなくなったら捕まえられるっ!
痛そーだけど仕方がないよね……?
どんっと音がして、私は急いで雲を消す。
どうなった!?
見えたのは、片手をついて座っている黒い塊。
でもそのままあいつは何事もなかったように立った。
「あーあ。一本、腕折れちゃった。なんてことしてくれるのかなぁ」
そっか………!
あいつはきっと、着地のときに、腕一本で体をささえ、ダメージを全部片腕にまとめたんだ………
「じゃ、そろそろ終わりにする?」
だめだ……勝ち目がない……!
どうしよう?
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