第2話 不思議なキラキラ転校生

私たちの通う学校はめちゃめちゃ大きな私立小中高一貫校。

なんなら幼稚園と大学までついていて、それはいくつかの中から選べるの。

日中日ひなに学校っていって、モデル校らしい。

それに、ここは設立当初から超有名。何度もニュースに取り上げられてたもん。

だって、これを立てたのは、日本を代表する三つの会社・日本三大会社だから。

みんなも聞いたことはあるんじゃないかな?

最新システムの配布と導入や設備を担当したのが「ミルキーウェイズ」

人員やモノの確保などを外国と行ったのが「E‐next」《イー・ネクスト》

そして、設計やインテリアを担当したのが……

わ、私のおばあ様の会社の、「HAHUMI《ハフミ》グループ」なの……。

すっごい有名になるのも無理はないよね……。

あ、でっ、どんなところかというとっ!!

えーっと、例えばね、まず授業は全て電子黒板。

教科書とノートは学校から支給されるタブレットを使う。

必須科目は、国語、数学、理科、社会、英語、プログラミング。あとは専科かな。

希望生徒には名門私立大学の教授の演説とか、専門コースとして音楽や服飾、スポーツや医療などをそれぞれの専門家の講義が受けられるんだ。

さらに日中日は施設面でも充実してる。

校舎はいつもきれいで清潔が当たり前。

人口芝生完全整備の屋上は屋根付きで、その屋根は開けたりすることも可能。

そして図書室。本は軽く二万を超えていて、付属のバーコードに学校配布のスマホをかざせば貸し出しできる優れモノ。

保健室は学校にしては珍しいレントゲンがあって、何かあれば日中日の専属のお医者さんを呼べる。あ、中庭には救急車もあるから、救急搬送だって可能なんだっけ。

その他にも電子機能は8階建ての校舎のいろーんなとこについてるんだよね。

だけど、私立のエスカレーター校。お金は莫大に高いのかと思えばそれほどでもなく、テストで半分以上の成績をとれて、面接で日中日にあった子と判定されれば入学できるんだそうだ。

だから入学者数がすっごい多いの。

ま、私たちはおばあちゃんがこの学校の設立者の一人だったから、ここ一択だっただけ、だけど。

いいことがあるなら悪いこともあるもので。

広すぎる校舎で道に迷うし、最新システムはどう扱えばいいかわかんない。おまけに社長令嬢とか政治家の息子とか、お金持ちの鼻持ちならない生徒が多いのも事実。…私は普通の中学校で普通の生活が送りたかった、なーんて言ったら贅沢だよね。


校門をくぐり、別校舎のふうと別れてから、迷子にならないように集中して歩く。

入学当初、うちの学校で迷子にならなかった人はよっぽどの天才だって言われるほど、この学校は広くて大きい。抜け道だってたくさんある。

方向音痴の私は1‐A組の教室に入れて、一安心。

なんだかそれだけで疲れちゃってはやく席に着こうって思ったけど。

その私の席に人だかりができて……る?

それもただの人だかりじゃない。クラスの全員をその場所にかき集めた、みたいになってる。

なにこれっ、隣のクラスの子もいるんじゃない!?

なになになんでっ!?

ゴシゴシ目をこするも、あの人垣は見間違いじゃないみたいだ。

とりあえずそーっと近づいて様子をうかがおうとしたけど、身長145センチの私には到底見えない!

「ち、ちょっと。ねえ!これ何の騒ぎなの?」

できる限り声を出して、近くの友達を思いっきり揺さぶる。

「あああああああ?ちょと、なに!?……って。あ、ころなちゃん!」

気づいてもらえたっ! 

と思った瞬間、今まで私に見向きもしなかった人垣が一斉にこっちを見た!

いや、見てほしかったわけではないんだけど。

「へ?」

「夏野さん。ほら、お待ちかねだよ」

何がお待ちかね?私、何かしたっけ??

周りの子たちはこっちを向いてざわざわして、席への道を開けてくれる。

何が起きてるのかさっぱりわかんないけどとりあえず、結果オーライ?

不安になりながらも自分の席に歩を進める。

輪の中心には見知らぬ男の子と女の子がいた。

この時期に転校生なんて珍しい。

と、思ったその時。

「「夏野!?」」

かぶせられたのはぴったり重なった声。その二人が私をまじまじと見つめてる。

ガタンと音をたてて立ち上がった女の子は私の正面に来て、手を取る。

「夏野ころなさん?待ってたの!うわぁー、会いたかったわ!」

ばむっと抱き着かれてバランスを崩し、そのまましりもちをつく。

急になに?あなただれ!?なんで私のこと知ってるの!?人違いでは!?

プチパニックを起こすも、今度は男の子が立ち上がって、

「あ、おい。抜け駆けはずるいぞ。おれだって夏野と仲良くなりたいんだから。」

そう言って手を差し伸べてくれる。

「…ごめんなさい。少し興奮しちゃって。」

女の子は赤い顔して一歩下がった。

よいしょと体勢を整えて、スカートをはらい、顔をあげたところで、私は目を奪われた。

こっちを向いている二人が、世にいうところのイケメンと美少女だったから。

男の子も女の子もキリッとした芸能人顔負けのオーラをまとっている。

そりゃあみんな集まるよ。スーパー転校生の登場だぁー。

ん?でもなんでこの子たちは私の名前を知ってるの?

こんなキラキラな人たち、知っていたら覚えてるはず………。

「夏野さん。この子達と友達?」

上の方から言葉を投げかけられて、ビクッとした。

出た!いや、出たって言ったら失礼か。

クラスの女王・天野川乃華。モデルみたいに背が高い彼女はこの学校の権力者。

何でも、ミルキーウェイズの社長の遠い親戚みたいで、それをすごく鼻にかけてるの。

おまけにお父さんとお母さんが超・過保護みたいで、学校は保護者に強くでれないから、どうしたって止められてないのが事実。

それで、この子とその取り巻きがクラスを支配してるようなものなんだ。

つまり、逆らわないのが身のためだってコト。なんか言わなきゃって口を開く。

「知らない、けど」

「そんなわけないでしょ」

う、うーん、確かにそう思われても仕方ないかもだけど…知らないのは、ほんとなんだよなぁ…

ちょうどその時チャイムがなってくれたおかげでなんとか尋問は回避できたけど、不穏な空気はぬぐいきれない。

それにしても、あの二人は誰なんだろう?

なんか、大変なことになっちゃったみたい……。

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