一人暮らしをしたいぼっちオタクな俺が、初恋の人兼いとこの美人お姉ちゃん先生と突然同居することになった件 ~姉が嫁入りしたいのは俺らしいし、ギャル幼馴染はぐいぐいくる〜
第15話 ベッドの下には夢とかなにとかエトセトラが詰まってる。
第15話 ベッドの下には夢とかなにとかエトセトラが詰まってる。
次に調査をすることにしたのは、その他の家事スキルについてだった。
調理スキルが判明した流れを鑑みても、土曜日だという点においても、改めて調査するにはうってつけの項目だ。
「まずは掃除からだな……」
そうは言っても、この項目については大甘で見ても二点以下が確定しているのだけど。
なんせ一回で壊してしまった逸話がある以上、掃除機も任せられないのだ。それも特に耐久性が高いわけではない我が家の安物家電ならなおさらである。
「ごめんね、こうくん。ありがと〜」
昼ごはん終わり、早姫姉が皿洗いをする横で、俺は部屋に掃除機をかけ始める。
といっても、さほど汚れてはいない。二日前にもかけたばかりだった。
決して潔癖ではないが、髪やホコリが目につくと気にはなる。狭い部屋に二人というのは、とくに何もしていなくとも、ゴミが溜まりやすいのだ。
せっかくの休日である。普段は手の届かないところをやるのもいいかもしれない。
手始めにベッドの下に、掃除機のヘッドをくぐらせると、掃除機がつい耳を塞ぎたくなるほど、おぞましい音を立てた。
恐る恐る引き抜いてみると、
「……ポケットティッシュに、レシート……?」
俺は掃除機の電源を切り、ブラシに絡まったそれらを手に取る。
ティッシュには化粧品メーカーの名前が、レシートは本屋のもので買ったものは「お姉ちゃんと学ぶ高校生英語」。
「ちょ、こうくん! ベッドの下はそこまで!」
まじまじと見ていたら、後ろから取り上げられた。
早姫姉はいそいそとゴミ箱にそれを放る。皿洗いへと戻るのだが、一つ食器を洗うたびにちらちら俺を振りみる。
怪しすぎる。なにがといえば、ベッド下がだ。まさか、と俺が再び掃除機を中へ突っ込むと、
「ひゃん!」
軽くよがるような声が上がる。後に続くは、ガシャンという陶器がぶつかる音だ。
「早姫姉、なにを隠してるんだよ」
「え、え、いや、なーんにも? お姉ちゃんは純白潔白だもん」
切迫しているようにしか見えないが。
俺はなおも掃除機を奥へ潜り込ませる。
「だめっ! そこは……あっちょっと! それ以上奥はだめ!」
「変な声出すのやめてくれない!?」
「でもだって!」
もはや水を出しっぱなしにしたまま洗い物を放棄した姉は、俺の腕をすがるように引く。
眉が両脇に落ちていた。だめなの、と懇願するような表情は可愛いけれど、必死さが優っている。
「……お願い!」
「悪いけど、聞けない話だな」
だが、何かあることが確定した以上、このまま放置はできない。
心を鬼にして、中にあるものを掻き出す。
出るわ出るわだった。
アイマスク、封の開いたおつまみに、ブラやパンツに靴下。
思春期真っ只中、普通の高校生ならドキドキものだろうが、俺はもうこの同棲生活二週間で慣れ始めていた。
それでなくとも、カップ麺のスープ袋や、かやくと絡まり合った下着には興奮できない。むしろ萎え萎えである。
「あー、こんなとこにあったんだ! どうりでスープの味薄いと思ったんだよね。具もないし」
「振り返るところそれだけかよ!」
「……うぐっ、だって〜」
二十五歳とは数ばかりの情けない声をあげて、早姫姉はぺたんと床にへたりこむ。
内股に折れた女の子座りは、色気をたっぷり放出していた。
洗濯物は出してないけど。
「大学生の時一人暮らししてたんだよな? こんなんで、どうやって一人暮らししてたんだ」
「そ、掃除は溜めてやる派なの!」
「こんだけ溜めてたら、服のローテも回らないんじゃないの」
「……お洗濯は人のいるコインランドリーで、お任せというか」
うん、これは五点満点中よくて一点だ。
0.5点でもいいけれど、もじもじする美人は眼福なので、サービス点をあげることにしよう。
しかし、先が思いやられる。この話の感じからして、洗濯物も当然できないのだろう。
いや、もしかしたらやればできたりーーーー
「うおっ、真っ白!? ポケットにティッシュ入れたな、早姫姉」
「……うぐぐ」
しなかった。
ベッド下から発掘した衣類を洗わせてみたら、このザマ。さらに干させてみようものなら、全体的によれっと歪んでいる。
このままでは型崩れ待ったなしだ。俺は、シワを伸ばしながら干しなおす。
正直、俺の分だけならどうでもよかった。ただ、スーパー教師がよれよれのブラウスでは威厳が立たないだろう。
「……こうくんのすごさがわかったよ、お姉ちゃん」
「いや、俺は別に普通なんだけど」
「もう、こうくんなしじゃ生きてけないなぁ、私。やっぱり同棲してよかった⭐︎」
「そんな理由で同棲したがってたのかよ!」
「それは違うよ〜だ」
ありがとうね、と早姫姉は俺の頭を撫でる。遠慮なく、かき抱こうとする。
洗濯物は、五点中の0.5点が関の山だろうか。だが、まぁ俺への扱いがべた甘いので、俺も大甘で見ることにして一点だ。
となれば、家事スキルに関してはもうおよそ決まりと言っていいだろう。
五点中だいたい一点。教師スキルの高さは間違いないので、全てくるめて二点だ。
当然赤点である。
俺に勉強させるだけではなく、ぜひ姉にも補習を受けてほしい。
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