第8話 外す
「そんな事があったんだ、、、教えてくれてありがとう。」
「だから目のことは誰にも言わないで欲しい。」
この目のせいで俺の人生は狂った。この目を見た人は俺を悪魔を見る時の目をする。この目がなければ俺は幸せな日々を過ごせたんだ。だからこの目が大っ嫌いだ。自分の目を何回も潰した。痛みなんか感じなかった。でも再生する。もうこの目を見たくなかった。だからサングラスをかけ誰からもそして自分でも見えないようにした。
この目がなければ母さんと今も、、、
「じゃあ、ばいばぁ、、!!!」
急に首を締められた。
「これなら能力関係ないよね」
「負けを認めて!!」
まだ勝負はついていなかったな。完璧に決まっていてこれから逃げ出すのは難しい。でも何か方法はあるはず。それでも考えなかった。少しだけでも話してみたくなった。冥と一緒に話したい。俺も少しは幸せを味わいたい。
もう逃げたくない。
トントン
「ギブ、ギブ」
「本当?」
「本当だから、落ちるから」
「やったーーー!!!じゃあ私とちゃーーーーんと話してね〜。クラスにくることは強制はしないから来たくなったら来てね。」
それから俺たちは、空室で放課後一緒に会い話をしたり外に出て遊んだりしていた。
「それでさ!先輩と今日朝目があったんだよねーーーー!!!!!カッコ良かったーー!!これはワンチャンあるね!!!」
「うん頑張れ」
「棒読みすぎ!!なんか意見あるなら言ってよ!!そのために話しかけてたのに。」
「他の男友達いただろ」
「あいつらは参考にならん」
「あらそうですか」
「で?なんかある?これしたら先輩から告白させる事ができるやつとか知らないの?」
「まず言うと私服がダサい。あと髪の毛を整えろ。もう少し女の子らしく振る舞え。
顔に米をつけながら歩くな。姿勢が悪い。これを治せば告られるぞ」
「米ついてるなら言ってよ!!って多くない!」
「ちゃんとしていないお前が悪い」
「わかった!じゃあ明日放課後お金持ってくるからいい服屋さんと美容院探しといてーー」
「めんどい」
「頼むよ〜」
「じゃあ明日な」
「帰るの早くない?!もう少し話聞いてよ〜」
「先輩の話は聞き飽きた。」
「じゃあ頼むよー絶対だからね!!」
そして髪を切りに行くと彼女は格段に変わった。前まではめちゃくちゃ長くてボサボサな髪の毛がショートの美少女に成り上がっていた。
「幸人どう?」
一緒に歩いていると突然俺の前に立ち顔をのぞいてきた。
近くね?
「可愛いと思うよ」
彼女の顔は少し赤くなっていた。
「あっそ、、」
服も店員のおすすめを全て買って、そこからは2人で鬼ごっこした。冥は動くのが好きらしく、2日に一回はチャンバラや鬼ごっこ、戦ったりしている。普通に楽しいし、冥も楽しそうだった。
次の日、冥は学園みんなから注目を浴びた。同級生や先生もが目を奪われていた。こんなに可愛かったのかと。先輩とも話していた。俺には関係ないけど。
放課後。
「先輩に話しかけられて、可愛いって言われた!!!嬉しみの舞おどろうかな!!!」
「おどってもいいけど」
「、、、、」
「あのさ、先輩の話ばかりしてるのにどうも思わないの」
「え?」
「めんどくさいとかさ、他の人の話させられて嫌じゃないの?」
なんだ急に頭でも打ったのか?さっきまでめっちゃ調子乗ってたやん。情緒不安定?でも気が利いた返が思いつかない。めんどいから本心をいようと口を動かす。
「うーーん少し思う。」
「やっぱり、、」
彼女は少ししょんぼりしていた。
「それでも冥と話したくないって思ったことはないよ。俺を受け入れてくれた冥には感謝してるよ」
言ってる自分が恥ずかしい。でもこれが本心だ。彼女がいなかったらこんなにも人との会話が面白いとは思わなかった。裏切られる。結局そうなると思っていたから。
「そ、そうなんだ、、、」
少しの静寂が流れる。この時間が一番気まずい。
「あと、、サングラス私の前では外してくれない?」
「他の人がいるときはいいからさ。私の前では外してくれない?」
「なんで、、」
冥には言ったはずだ。サングラスをつけている意味を、
「あなたの目が好きだから。」
冥は真っ直ぐ俺をみていた。いや、俺の目を見て言っていた。みんなから否定されていたこの目。可哀想、近づくな、悪魔の目。何度もマイナスのことを言われた。実際俺もこの目が大嫌いだった。俺のものだけど。それでもそれを彼女は好きと言ってくれた。俺のダメな所を好きと言ってくれた。普通なら照れたりしているのだろう。それより俺は笑顔になっていた。
「ありがとう」
「え?なに?なんて?」
「なんでもない。早く鬼ごっこするぞ」
俺はサングラスを外し誰もいないグラウンドに行った。
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