第7話 過去2
「今日はお母さんの絵を書きましょう」
「はーーーーい」
「お前の絵下手くそーー」
「めぐみくんのだって下手っぴだよー」
「お前の方が下手くそだしー」
「やめなさい。どっちとも上手。それでいいでしょ。」
恵。俺の幼稚園の時の親友だった。喧嘩も多いけど一緒にいてたのしかった。
「お母さんお母さん!!!」
「なーに」
「今日ねお母さんの絵を書いたの」
「そう。見せてくれる?」
「うん!!!」
「あら上手。また書いてね」
「うん!」
「ご褒美に今日は大好物のエビフライね」
「やったーーー!」
母といる時間はすごく楽しかった。だけどその日常はなくなった。ただ楽しく過ごしてただけなのに。
ある日、幼稚園に仮面を被ったひとがきて先生を刺し俺を連れて行こうとした。みんなはその時教室の端っこで泣いていた。助けてくれる人はいなかった。犯人も早く連れて行こうとした瞬間、誰かが仮面の男を殺した。もしかして助けてくれたのかと思った。顔を見たら俺はショックを受けた。悪魔だった。そして俺を奪い取り逃げようとした。その時幼稚園が火に包まれた。
俺の考察だがこれは影(悪の組織)の仕業だろう。裏では俺の透明な目は高くで売れるらしい。昔ある子供が目をくり抜かれた状態で発見された事がある。その子は第三時代の子供だった。だから俺を悪魔より早くさらおうとしたが失敗になり証拠を隠滅させるために火を放った。
俺の友達が燃えていた。目の前では叫び声と暴れまわる姿があった。その中には恵の姿もあった。
ヤバイ。めぐみくんが死ぬ。助けなきゃ。
助けようとした俺だが悪魔に腕が折られ連れて行かれそうになった。そっからは記憶がない。目を覚ましたら、悪魔を殺し恵を抱えて幼稚園から出ていた。死者は俺と恵以外全員らしい
後日この事件は大きくニュースで取り上げられていた。
悪魔を殺し、幼稚園に火をつけ幼稚園児を皆殺しにした最悪の時代と。
影が裏でテレビ局に金を入れて俺を犯人だと報道しろと言ったらしい。だが俺は証拠不十分で、捕まらなかった。ここからが地獄だった。
ネットでは普通の幼稚園に通わせていた母に矛先が向いた。
家の前では毎日のようにカメラが向けられ、石を投げられ、ネットでは事実でないことも噂され、家には落書きをされ、毎日くる殺害予告。このやり過ぎた行動に誰も否定せずみんな当然だと言う。みんな俺の事を悪魔を滅ぼせる逸材と言ってくれてた。なのに今は悪魔扱い。家に出た瞬間に聞こえるシャッター音と質問の嵐。ガラスはほとんどが割れていた。俺はストレスで髪の毛が全て白色になっていた。
母は痩せ細っていた。目の下にはくま。髪もボサボサ。暗く汚れた部屋。それでも母は俺を愛してくれていた。
「ごめんね幸人、私が馬鹿で」
「ごめんねごめんね」
「ずっと一緒だから」
泣きながら俺を抱きかかえてくれた。
母がいてくれれば俺は生きていけるそう思っていた。
4日後母が自殺した。首をつって動かない母を見上げた俺は涙が出てこなかった。裏切られたんだお母さんに。すぐにわかった。お母さんは俺を置いて行った。俺よりも楽をとったんだ。俺は能力学園に引き取られた。別教室で園長と勉強をしていた。高校になり自分を変えようと教室に行くが行く意味を見つけられなかった。1人の方が何があっても失望もしない。裏切られない。
わかっていた
自分が一番楽をしていると
逃げているだけだと
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