共同生活

そんな感じで俺たちは教室へ足を踏み入れた。

黒板を見ると今から座ることになる席順が記載されていた。

俺は廊下側の一番後ろの席だった。

「よろしくお願いしますわ」

透き通った声が隣から聞こえた。

隣を見るといわゆる美人と言われるであろう人が立っていた。

薄めの茶色が入ったロングでCはありそうな胸。

そして鼻が少し高く目もぱっちりとしている。

世の男子はこのような人を見ると一目惚れというものになるのだろう。

「お、おはよう。次の席替えまでよろしく頼むな」

にこっと笑い俺の隣に座った。

黒板を見ると俺の隣には北川芽衣という名前が記載されていた。

例のごとく時間になると担任の先生であろう人物が教室に入ってきた。

新しいクラスになると陽キャラと隠キャラがすぐにわかる。

俺は中間と言ってもいいのだが裕輝が圧倒的陽キャなため俺も流れでそっちの部類に入ってしまいそうだ。

朝のホームルームが終わると女に飢えている五人ほどの男子達が俺の席に寄ってきた。

目的はどうせ俺の隣に座っている北川さんだろう。

廊下側の席の一番前。つまり俺の席の前に当たる一番前の席の人を見ると例の幼なじみが座っていた。

あいつに関しては顔も整っていて胸もBくらいはある。

はっきり言って女子で見るとすごく可愛い。

なので俺の幼なじみ。朝倉友恵のところにも男子達が友達になるべく。いや自分の飢えをなくすためにあいつに近寄っていた。

まぁ俺にはどうでもいいのだけれども。

「今日は始業式だったから早く終わってよかったな!」

「そうだなー早く帰って飯食お」

「相変わらずだなお前は。ところでお前の隣の北川さんだっけ?あの子めっちゃ美人じゃん!よかったなー!」

「俺には関係ないし裕輝だって女子たちに人気だったじゃないか」

「そんなことねえよ」

そんな犬も食わなそうな話をしつつ珍しく裕輝と帰宅した。

「ただいまー」

少し大きめな声で帰宅を伝える挨拶をした。

返事はなかった。

買い物に行ってるのだと思いリビングに向かい菓子パンなどの軽食を探した。

リビングへ足を踏み入れると俺の目に映ってはいけないものが見えた。

幼なじみの朝倉友恵だった。

昔は確かに毎日と言っていいほどこいつとは遊んだしこの家やこいつの家にも行った。

しかしもう関わりを切ったのだ。

「....なんで」

幼なじみはチッと舌打ちをし話し始めた。

「私の親は共働きでしかも同じ会社なのは知ってるでしょ?」

「まぁそれくらいは」

「それでお父さんに出張が入ってお母さんも付いて行ったの」

「それがなんでうちに来る理由になるんだよ」

「は?まだわかんないのアンタ?私の親は私とアンタがこんな関係になっているって知らないの」

「それで?」

「昔の仲良いまま続いていると思っててしかも私の親とアンタの親って仲良いじゃん?アンタの親も仲良いまま続いていると思ってて出張が一年くらいだからその間私を預かってくれる。という話になったの分かった?」

「理由は分かったがお前はいいのか?」

「べ、別にあの事は正直もうどうでも良くなったからアンタの事もなんとも思ってない」

それは悪口と捉えるべきなのかよくわからなかったが俺と意見は一致していた。

「そうか。ならいいんだ」

こうして謎の共同生活はスタートを始めた。




あとがき


最後まで読んでいただきありがとうございます。

霧ヶ丘晴です。

自分の作品を楽しんで読んでいてくれたら幸いです。

自分はマイペースな人間なので小説も書く時間をマイペースにしようと思いましたが流石にそれは邪道だと思ったので十日に一話くらいのペースで描きたいと思ってます。

これからもよろしくお願いします。

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