第4話遂にその日は来た!そして僅かな違和感

あの出来事が起こってからしばらく経った。彼女麻友に煽りを受けたり雄介に私と別れるようにしようとしたりわざと聞こえるように悪口を言われる事がたくさんあって、そんな日は悔しくて枕を涙で濡らす…なんて事は無く〇ii〇ィットのボクシングをしてストレス発散していた。え?〇ングフィット〇〇ベンチャー?カセット売り切れで買えなかった(泣)。そんな日々になってから2週間後、私は雄介を呼んで緊急会議を開いた。

私「これより『ひふわな』計画緊急会議を始めます! 雄介、彼女からラブレター貰ったって本当?」

雄介「ああ、放課後にアイツから手紙を貰ったんだ。手紙の内容を簡単に訳すと『明日の放課後、大事な話があるので校舎裏に来てください。あの地味な彼女と私を比べたらどちらを優先するのか一目瞭然ですよね?待っています。』だってさ。いつかはこうなると思っていたけど、急に来るとは思わなかったな。」

私「確かにそうだね(パクパク)。ここまで来たらもう引き返せないから(ムシャムシャ)今のうちにどんな風に断って、できる限り最大限のダメージを与える事ができるように考えないとね。あっ、ヤバイ。アイス零した。」

雄介「一応理由聞かれたらアイツの嫌いな所を言うつもり。それに愛莉を悪く言われた事への怒りをぶつける。好きな人を散々貶して、許せる訳ねーだろ!あと俺にもアイスくれよ。」

私「ヤダよ。これ雄介が私に奢ってくれたやつだもん。まあどうしても食べたいって言うなら、はいどうぞ、ラムレーズン味。」

と言って、私は近くにあるミニ冷蔵庫からアイスを取り出して雄介に渡した。

雄介「嫌いな味を押し付けんな。アイス奢るとは言ったけど、まさかパーティーセットを奢らされるとは思わなかったよ。」

私「私、アイス"単品"とは言っていなかったからね。そういえば、明日私どうしたら良い?終わるまで校舎にいたら良い、それとも先に帰っといて欲しい?」

雄介「先に帰って欲しいな。アイツを振るために愛莉の長所とか魅力をたくさん言うから聞かれると恥ずかしいからな。結果は終わってから教えるから、家で待っていてくれ。」

私「了解。それじゃあ明日頑張ってね!うっかりバラシて失敗、みたいな事にはならないでよ。」

こんな感じで緊急会議は終了し、その後はゲームしたりして思いっきり遊んだ。

ーー翌日の放課後ーー

私は雄介に言われた通りに家に帰り、次の予習を進めていた。だけど、私はずっとスマホに連絡が来るかもしれないと思って全く勉強に集中できなかった。絶対にそうはならないと思っていながらも、"もしかしたら"という想像が頭から離れない。

(雄介大丈夫かな?佐々木さんけっこうしつこいから振られても何度も食い下がってくるかも、雄介結構押しに弱いからなぁ…。そういえば、計画成功した後どうするか全く決めてなかったな。佐々木さんが荒れまくる、クラスの女子生徒達恋バナに喰いついた人達の恋愛トークに付き合わされる等々起こるかもしれないけど、今までの様な平穏な学生生活を送れない事は確定している。雄介が連絡してきたら、これからどうするか話し合った方が良いよね…。)

と考えているとプルルルルとスマホから電話から音が鳴った。確認してみると雄介からだった。私は期待と不安でドキドキしながら電話に出た。

私「もしもし。どうだった?」

雄介「…アイツは何事もなく引き下がったよ。あまり動揺しているようには見えなかったけど、多分ショックを受けていると思う。」

私「本当!?良かった~、雄介ってしつこい誘いを断れない性格だから心配してたんだよ。」

雄介「それって俺がアイツの告白を受けるっていう意味か?そんな訳ねーだろ(笑)。愛莉の事をいろいろ言ってたから、「ふざけるな!」って怒鳴ってその勢いでアイツの嫌いな所を捲し上げてやったぜ。」

私「なんか、佐々木さんが雄介の気を引くために私の悪口めっちゃ言ってるのがすぐに想像できた。」

雄介「まあ、愛莉に対する事は、うん、俺が引くぐらい言ってたなぁ、ある意味。」

私「…どうしたの?なんかさっきからぎこちないよ。歯切れも悪いし、私に何か隠している?」

雄介「ホントに何もねぇよ。それにしてもあん時から今までほとんど深く考えてなかったけど、案外なんとかなるんだな。アイツも皆もあっさり騙されてたし、俺たち以外と演技の才能有るかも知れないな、ハハハッ。……なあ、愛莉。」

私「どうしたの?急にあらたまって?」

雄介「…この先何かあっても、絶対にお前を守るからな。…悪い、何か一度彼氏らしい事を言ってみたくなった。じゃあまた明日な、焼肉無料券、明日持ってくるのを忘れるなよ。」

私「ふふっ。そうだね、また明日。」

電話を終え、私は背もたれに寄りかかりながらふふっと笑い声を出した。ふと机の上に置いている鏡を見ると、満面の笑みではないが嬉しそうに笑う自分の顔が映っていた。私の気持ちは嬉しさで一杯だ。嬉しさで一杯なのに、その中に僅かな不安があるのはなんでだろう?

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