PHASE 15 :猿乱獲作戦-オペレーション・サルゲッチュ-
PHASE 15 :猿乱獲作戦-オペレーション・サルゲッチュ-
田舎の象徴・公民館前、
時刻は昼前だというのに、どこか薄暗い空の下、
「おー来た来た……わお」
やってくるは、バイク二つ、軽自動車一つ、普通の兵員輸送トラックに、
バカでかいトラックで一緒に運ばれてくるなんだか見慣れない物、
「あれ何さ?」
「さぁ?また隊長がブリティッシュサイド製の物持ってきたんじゃ?」
「マジか。もう世界は宇宙世紀だったか」
キキー、とブレーキをかけて、目の前で2台のバイクが止まる。
「リュドミラちゃん、司令!
第2小隊バレットエキスポ到着!」
「ほいほーい。
M-フォースは?」
「いま到着しました!姉さん無事!?」
と、トラックから降りてくるアサルテ。
即座に続々とM-フォース達も降りてくる。
「全員揃ったね!?
よっしゃ、作戦を説明する!」
バレットエキスポも全員並び立ち、全員整列する。
「まず最初に、この公民館を『最終防衛ライン』とする!
現在、内部にはウェンディゴ症候群……つまり、『憑かれている』人間のみんなが集められている!
既にだいぶ魂が侵食されてて、喰われかけてて危ないんだ。
そこで、M-フォースとBエキスポのショットガン、マグナム、マークスマンライフル、バトルライフル各種は、あの山を根城にしているヒサルキ共を狩り立てる!」
ばん、と指差された山。
キェーイ!!キィィィィィィ!!!
そこから響くサルの声は、かなりの数だと理解させられる。
「第2小隊残りのメンツは、
公民館前の山から来る最短ルートの大通りにレート高杉マシンガン二人を中心に防衛陣地を配置!
来たやつは全部撃て!」
よし、と指示を出し終わったブラッキィ。
ふと……いない相手へ気づく。
「オンリー、お宅のお婆ちゃん深夜徘徊?」
「止めたんですけど、お友達のマグナムと散歩行っちゃいました」
「やれやれ、無線機持たせた?」
「スイッチ入れてる、シェリフお婆ちゃん?」
『まだ痴呆じゃねーよオイラは!
ボケてぇが酒切れだ!!』
と、元気な声が無線機から。
パフェに目配せすると、SNSでアトラと交信中とでも言いたげにスマホの画面を見せる。
「接敵はまだですね」
「あいつら、GPS無しで大丈夫かな?」
「あれで西部開拓時代の猛者ですよ、シェリフお婆は」
「どっちかといえばこの国はベトナムみたいな場所だけどねぇ……
まぁ、いっか!!
じゃあ、我々も行きますか!!」
ブラッキィの一言で、総員駆け足で即座に行動を開始。
「M-フォース、作戦通り二つに分かれる!!
セコンド班はいつもの、キャップにリュドミラはそっちに行って!」
「「了解」」
「残りは私と!!プッタネスカ、パフェ!
真面目に頼むわよ?」
「「了解」」
「マコト、病み上がりだけどよろしくお願いするわ!」
「了解」
「オンリー、ここは任せたわ。
もっとも、PDWのあなたやあなたの部下の小口径弾組には……なるべく負担はかけないようにするけれども」
「まーかせなさい!
ま、PDWといっても、クマレベルのサルにストッピングパワー十分じゃないしね」
「でも後ろを任せられるのはあなただけ。
期待しているわよ、『ロンリー』?」
「こらこら、『オンリー』でしょ?」
「あら、だったわね?」
そう言って、アサルテはM-フォースを引き連れて山へ向かう。
***
M-フォースとバレットエキスポから派遣された面々は、作戦通り二手に分かれる。
片方は、山の東側の比較的広い遊歩道より、
もう片方は反対側の工事現場から。
今、工事現場側からパフェが、持ってきたドローンを射出。
端末を片手に、先行した3人のビーコンを中心として。偵察を開始。
山でも届く衛星電波に乗って、送られてきた映像によると…………
「おいおい、なにもこねぇぞ!?
これじゃあ婆さんの介護とガキンチョの情操教育のためにハイキングに来たようなもんじゃねーか!」
と、ホークが叫ぶほど平和に山を登っている様子があった。
「誰がガキンチョだっつーの。
それにアンタも十二分にお婆ちゃんだろバーカ」
「言われてるぜ若造?」
「口が減らねぇ奴らばっかで楽しいなぁ、おい」
のほほんとした鳥のさえずりが聞こえる山を歩く。
ふと、ガムを噛みながらSNSで知り合いのパフェに連絡をしたところ、『周囲の写真よろ☆』と来たので『語尾うぜぇ』『待ってて』と言ってスマホを周囲に向けて写真を撮る。
「もう完璧バードウォッチングだな。
静かな自然、静かな山を歩いて、心安らかにしましょう、ってか?
冗談でもねぇや。獲物はどこだよ、獲物はよぉ!?」
「うるさいぞ若造」
「あんだよ文句あん」
ぱっと、口を塞がれるホーク。
アトラが、険しい顔でスマホを見る。
「……囲まれてる」
アトラが見せる山の写真には、どれをスワイプしても横切るヒサルキの姿がある。
「ヒュー!
……おサルの知性を舐めてたぜ」
スマホをしまい、アトラは自分であるM500を抜く。
「早く銃を抜いた方がいいよ?」
「早く?
早くやっちゃって良いのかいお嬢ちゃん?」
「良いに決まってんだろ、バー、」
カ、までいうより早く、銃声が一発。
ドサリ、とアトラの直ぐ近くに、両眼を撃ち抜かれたものと後頭部が抉れたというか割れたような死骸が落ちる。
「オイオイ、オレたち早撃ち
「滅多なこと言うねぇ〜?
出血大サービスしちまったじゃあねぇかい?」
肘を曲げ、腰の脇で構える古き良きガンマンスタイルの射撃態勢の二人。
カッコつけた態度にチッ、と言って、アトラも二人の背後に一発。
ズドォン!!
50口径の一撃で頭蓋を割って、サルを黙らせる。
「バーカ。まだくんだろ油断すんなババア」
「OK、
「撃った数ぐらいオイラは覚えてるっつーの!
今朝は酒飲んでねぇかンな!
来るぞガキども!!」
キケェ────────ッ!!
「「「
コイツはサービスだ!!!」」」
飛びかかる怪物に、ズドンと再び3人のリボルバーが火を噴く。
***
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