PHASE 14 :準備ってクッソ時間かかる 後編





 セクター4総合補給所は、地獄から引っ張ってきた贖罪中職員を含めて、戦場とかしていた。



「5.56mm、用意しました!!」


「仕分け開始!!マガジンの違いに気をつけて!!」


「バカ!!7.62ミリはこっちのテープ!!!」


「だれかっ……!!12ゲージ、手伝って……!!」


 弾丸を用意するだけで一苦労。



「はい、第1小隊M-フォース用の仕分け完了!!」


「皆さん、恐らく彼女らがきますよ!!用意を!!」


 レギンレイヴの号令とともに、ドドド、という勢いでやってくるわ……!




「新人ぃぃぃぃぃん!!書類はいいかぁ!?」


「うっす!!あとは皆さんのサインだけっす!!」




「来ましたぁッ!!我々のラグナレクバレットエキスポがぁ!!!」



 ザッ、と集まる個性的な面々が各々の弾丸にサインをし、地獄が始まる。




「5.56mmNATO弾を!」「7.92×57モーゼル弾をドラムとボックスの両方でぇ!!」「三八式実包ぉ!!」「5.7×28mm弾、Five-seveN用のマガジン!!」「サーモバリックと相方のロシア弾!!」「.50AE!」「12ゲージ!」


「ペンギンコラみたいな事しないで一列!!」




 バレットエキスポの銃の種類は多く統一性は皆無である。

 上はRPG用のロケット弾から、下は.38スペシャルまで。

 機関銃が二人、しかも発射レートが高い上に凄まじい数を消費する二人がいる。



「あ、7.62×51mmNATO弾を4000発くださーい」


「ア“ア”ア“ア”ア“ア“ア”ア“ア”ア“ア“ア”ア“」


 天使の様な笑顔で悪魔も泣き出す事を言われ、でも用意してあるので出すのだ。

 気が狂うほど長いベルトリンクを、可愛げの塊の様な笑顔で受け取る死神のために。





「さてと、お願いねサプちゃん?」


 と、ベルトリンクを口みたいな給弾口を持つ、四角い体にダチョウやティラノのような脚のロボットにベルトリンクの弾丸を飲み込ませるミニー。


「ミニー、この妙なのは?」


「あ、ナンブちゃん副隊長!

 これね、チャーチルお姉さん達が作ったの!

 汎用機関銃を補佐する為のロボットなんだって〜♪」


「名前は確か、「サプライレッグ」よ。

 弾丸を運んでくれるだけじゃなくって、こんなふうに背負うと、脚が私の足に取り付けられて簡易パワードスーツになって、クソ重い弾丸を運ぶのに便利なのよねぇ?」


 そういうシュナイダーの背中には、そのサプライレッグが言葉通り銃弾を内部で保持して、あの二本足が彼女の足に取り付いて重さを軽減するパワーアシストになっている。


「へぇ〜……じゃあ私が荷物持つのも解放かぁ〜」


「良いじゃない?あんたは、新人にいたスナイパーライフルちゃんの補佐に専念すれば」


「なるほど、それでいっか」





「よくなぁぁぁぁぁぁいッッッ!!!


 未登録!!装備は!!!

 管理に為の書類を提出しなさぁぁぁぁい!!!」




 勝手に受領する第2小隊もアレだが、作ったブリティッシュサイドの面々を後でどうにかしてやろうと心に決めたレギンレイヴだった。



「おー、混沌としてるぅ!

 みんな揃ってるね!」


 そしてやってくるオンリーとその他3人。


「そんな他人事みたいに言わないでください!!

 仕方ないとはいえ、弾丸も混沌としていてただでさえ手間が……」


 そして気づいてしまう。


 今回から復帰する、マコト|(G3A3)、キャプテン|(M1ガーランド)、そして新人のエリータ|(PSG-1)と……




「あ、書類全部書いたっすよ!

 これでグレネード使えますよね?」


 さっきからずっと端で必要書類を書いていた、アキタ|(チャイナレイクモデル)のことを、



 すっかり忘れて弾丸を用意していなかった事に。




「ちょっとだけお待ちくださぁぁぁぁぁぁぁぁぁああああア“ア”ア“ア”ア“!!?!?!!」


 久々に半神の戦少女の身体能力を発揮して、全速力で半泣きで走って倉庫へ駆け込み、追加の7.62×51mm弾やら、微妙に違うガーランド用の.30-06スプリングフィールド弾やら、40×46mmグレネード弾やらマガジンと、ガーランドとかいう骨董hゲフゲフン専用のクリップなどを持って全速力で戻る。


「お待たせしました!!

 装弾はお願いします!!」


 ダン、と弾丸とマガジンを大量に入れた木箱を渡し、後は丸投げである。


「ありがとう、ミス・レギンレイヴ。

 さ、君らも装填したまえ!」


 と、ガーランドは受け取って7.62×51mmNATO弾組の二人と、箱の中の弾丸を早速自分用のクリップに入れていく。


「ゼー、ハー……ゼー、ハー……!!」


「お疲れ様ー、まいど悪いね」


「うぅ……これでも、第4小隊よりは……」


 隣でP90用のマガジンに給弾中のオンリーに声をかけられ、後ろから事務員に渡されたペットボトルの水を飲む。


「……ふー……あれ、そういえば……だれか足りないような……??」


「あれ、そういえばシェリフのおばあちゃんは?」


「おーい!集まってるかー?」


 と、噂をすればやってくるシェリフ。

 それと…………


「おうおう、随分フル武装なこって。

 ハンティングにしちゃあ戦争行くような装備でなんか、遊びがねぇなぁ?」


 と、わざとらしくブーツの拍車を回して歩く、黒いコートにカウボーイハット、ついでに眼帯の背の高い女、


 G.W.S.所属死神:『スタームルガー スーパーブラックホーク』

 銃種:マグナム用リボルバー

 使用弾: .44マグナム弾

 TACネーム:『ホーク』

 役職:G.W.S.セクター4第4小隊『ハンティングクラブ』隊員




 その後ろで携帯を弄りながらガムを噛むツインテールのイマドキティーンエイジャー風な少女、



 G.W.S.所属死神:『S&W M500』

 銃種:マグナム用リボルバー

 使用弾:.500S&Wマグナム弾

 TACネーム:『アトラ』

 役職:G.W.S.セクター4第4小隊『ハンティングクラブ』隊員


 の二人もやってくる。





「ダメです!」


「まだ何も言ってないぜレギンレイヴの姐さんよぉ?」


「第4小隊は出動要請されてません!」


「そりゃ勝手に来てるからな。

 というか、オレ達はアウトサイダーだぜ?

 硬いルールだのは苦手で、リーダーなんてものもいらねぇ。

 やりたい様にやるのが心情の奴らだ、だから来たんだ」


「ほい、書類」


「ぐっ……こんな時に限って真面目に書いてある……!

 でもこれは受け取れませ……」


 さ、と差し出されるもう一枚。

 オンリーの、隊長権限者にのみ書ける『救援要請』の書類。

 確認。完璧。やっぱり確認。完璧。


「酷いです……オンリーさん……!」


「いやぁでも、シェリフお婆ちゃんの頼みだし?」


 酷いがこの場合話は違ってくるので、嫌でもハンコは押して受領。


 す、と首元から下げた紐の先の鍵を、近くの観音開きのタンスに刺して回す。

 下のアナログナンバーロック式の鍵も外し、さらに下の電子式ロックもコンソールで別の番号を打ち込んで外し、その下の指紋認証と網膜認証をクリアした後に、北欧神話系半分女神だからできるルーン魔法の封印も解いてそこを開ける。


 マグナム弾はここで管理している。

 取り出したるは、.44マグナムファクトリーデスサイズ弾、そして.500マグナムのデスサイズ弾。

 1カートン二十発入り。


 納品。受領。安堵。


「よっしゃ!

 感謝すんぜ婆さん、ハンティングの誘いとはな!」


「お前ららしいだろぃ?いやオイラ達でも十分かなと思うが一応な」


「ま、おばあちゃんの.45ACPじゃ手に余るよ」


「違いないな」


「はいはい、分かりましたからさっさと行っちゃってください!

 あ、オンリーさん!!」


 と、最後にオンリーへ投げ渡される鍵とHDDの様なモノ。


「お!渡されると思わなかった」


「吐いたつば飲み込めない、っていうことわざをご存知で?

 ちゃんと報告書を出す様に」


 にひひ、と笑って、オンリーは自分の指揮下である第2小隊を引き連れて、出動する。








「遅れました!

 M-フォース、総員弾丸の受領に来ました!」


「どうぞ」


「相変わらず速い……!」


「ええ、だって弾丸は決まってますし♪

 ナイス、アメリカの軍経理部門!!」


 嬉しそうに言うレギンレイヴの様子に少し面食らうものの、これ幸いに素早くM-フォースは弾丸を受領できたのだった。




          ***

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