PHASE 7 :汚れてもいい格好=??







「えいっ!」


 パシャ、とかけられる水。


「きゃあ!やりましたわね!!」


 ピチャピチャ水が跳ねるコンクリートの上を跳ねる素足。


「ふざけてないで真面目にやりなさいよぉ!!」


「ちょっとぐらいは良いじゃないですかー、ほら!」


「ちょ!!」


 水の勢いで跳ねる、ビキニに包まれた二つの球体!


「ほいほーい、勢いよく行くよ〜?」


 ブシャー、とホースで勢いよく水がっけられる中、あられもない素肌だらけの少女達が跳ね回る。





 格納庫脇、洗車スペース。


 例の焦げたビッグフットを洗う第2小隊達は、みながビキニ姿、水着姿だった。





「な、な……!!」


 やってきて早々、シェリフは口笛を吹き、ナイファーは言葉を詰まらせる。


「お!!

 ナイファーちゃーん!!それとみんなー!!

 遅ーいでーすよー!!」


 黄色に青縁なビキニのオンリーが手を振る中、くわっ、と目を見開いてナイファーが叫ぶ。




「姉さん!!

 なんでそんなあられもない姿を!?!


 写真一枚いいですか!?!」




 そこかよ、と密かに思うPSG-1だったが、すでに何枚も携帯に収めていたナイファーだった。


「はぁい☆まだ暑苦しい格好の別働隊の皆さーん!!

 カメラはこっちでーす♪」


 と、横から紫に派手な装飾なビキニのパフェがカメラ片手でやってくる。


「パフェ……!!

 後で姉さんのところの映像データください」


「さっそく変態シスコンで安心しましたよナイファーちゃん♪

 まぁそれはさておき、私のチャンネルちゃーんと見てれば水着を用意出来たのにー!見てくれないんですかぁ?」


「ハイテクは苦手だよ!

 何があったかオイラ達にも説明をしてくれるかい?」


「はいはいかしこまー☆

 いや実は、昨日でた悪魔のせいでこの通り、ウィプリィさんの愛車が……」


 す、と例の愛車がことビッグフットの方を見る。



「…………生き返れ生き返れ……!!」


 左手のスポンジに凄い勢いで焦げ取り強力洗剤を付けるウィプリィが、何やらつぶやきながら必死に洗車している。


 ちなみに、黒のマイクロビキニに濡れて透けてるTシャツ一枚の中々そそる格好だった。



「……この通り、機能は問題ないですけど焦げちゃいまして。

 朝から洗おうとオンリー隊長の発案と、結構今日暑いじゃないですかー、だからこの通り水着でやろうって事に」


「たしかに、ちょいと辺獄リンボの割に熱いな……」


 言われてみれば汗ばむ日差しが真上にある。



「てな訳で、みんな水着なんですよー」


「ほらほら、サボンないであんたらも手伝え!」


 と、黒い水着の結構攻めてるシュナイダーがやってきてそう真面目に言う。


「ちょっとシュナイダーおばさーん?無理しすぎでは〜?」


「見た目似たような年齢でしょうが、クソガキ。

 じゃあ何?おんなじ事、『アリサ』にも言えるって訳?」


 ふと、親指で指した先、


 まぁ、なんと黒い大胆なビキニに肉付き浴もスタイルの良い身体を納め、黙々と焦げをとる黒い髪の凛とした美人がいる。




 G.W.S.所属死神:『三八式歩兵銃』

 銃種:ボルトアクションライフル

 使用弾:三八式実包|(6.5mmx50口径)

 TACネーム:『アリサ』

 役職:第2小隊隊員




「良い身体してんね?なんかスポーツでもやってるの?」


「ウィプリィ殿。毎回拙者が脱ぐたびにそれを言うのは辞めぬか?」


 隣で必死に焦げを取っていたウィプリィのお決まりの文句に、表情崩さずそう答えるアリサ。


「怒ってんの?許してよ」


「気にしてすらいない」


「でも実際何食べたらこんなポヨポヨに?」


「ポヨポヨするな!」


 ぬるんと現れたプッタネスカが胸をポヨポヨ突いた次の瞬間には手刀が頭に飛んでいた。

 頭の周りに星を回しながら離れるプッタネスカと入れ替わるようにオンリーがやってくる。


「にしても意外と大胆ですな〜、アリサ殿は!」


「む……恥ずかしくない訳ではないが、入らないからな……」


 たしかにそんな『二つの頂上ツインピークス』な日本アルプス二つでは、とオンリーも含め誰もが納得する。


「分かりますわぁ……」


 やっぱり大胆なビキニのフェンサーも、自身の立派な山脈を抱えて心底同情するように言う。


「大きくても服のサイズ困るのよね……」


 遠くでそう呟くシュナイダーのアルプス山脈では説得力が段違いだ。





「いや、皆まだマシだと思う」


 そこへ現れる小さな影。


「まだ、精神年齢に似合う服、着れるだけマシだと思う」


 ────ナンブの水着は、ピンクでフリフリの多い女児向けな物だった。



 ………………



「やぁだぁ〜♪ナンブちゃん可愛い〜!!!」


「まぁまぁまぁ〜♪愛らしいです〜♪」


「すっげぇ可愛い〜!!!」



 皆、寄ってたかって大か特大か中サイズの物を押し付けてくるがナンブは虚無の表情だった。







三八式歩兵銃アリサカライフルにニューナンブですか」


 PSG-1はまさに珍しい物を見る目で一連の様子を見て呟く。


「これがウチの隊が『世界弾丸博覧会バレットエキスポ』たる所以よ。

 雑多さでいえば、第4小隊ハンティングクラブといい勝負ね」


「あなたも第三帝国製ですしね。

 しかもデザートイーグルまで……趣味の世界の集まりみたいだ」


「うっわー、生意気なの入って来たー……!」


「お前が言うな!」


 パフェに軽い手刀をしつつ、なかなか辛辣なPSG-1に向き直るシュナイダー。


「あんたPSG-1よね?

 私がシュナイダー。グロスフスMG42のシュナイダーよ」


「どうも。年代は違えど同郷ですか。

 副隊長はあなたで?」


「緊急時は。基本もっと優秀なあそこのナンブがやってるわ。

 でそっちのチビは?」


「あっ、自分はチャイナレイク・グレネードランチャーっす!!

 チャイナレイク・モデルとも言います」


「あのポンプアクショングレネード?海兵隊の?」


「一応、海軍特殊作戦軍Navy SEALsの装備でした……ライフル懸架グレネードに負けたっすけど」


「なるほど。


 ちょっと、オンリー!ナンブいじってないてさっさと新人を受領しなさいよー!」


「あ、オッケーシュナイダーちゃーん!!」


 ぐいっ、と今まで揉みくちゃにされていたナンブを引っ張って行くオンリー。


 ようやく、と感じる新人二人だった。




          ***

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