第47話 悪魔王

 隕石が降るまで、あと九日。

 張り詰めた空気が漂う中、神野王は凍った湖の上でシャインと戦闘を繰り広げていた。


「『百光』」


 百の光が神野王を襲う。だが、神野王はそれをアクロバティックのようにかわしていき、シャインの脳天に電撃を浴びせた。

 だがしかし、シャインは倒れなかった。


「なあ神野。お前、霞姫さんを殺したんだって。よくも、よくも、よくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもよくもおおおおお」


 シャイン。

 閃光、

 百光、

 一閃、

 輝き、

 光を統べる統治者ーーその者こそ、シャインである。が故、世界はシャインになど敵うことはないのである。


「『百光』」


 再び百の光が神野王を襲う。

 だが神野王は全身を鋼に変え、その攻撃を全身で受け止めながら神野王へと進んでいく。

 神野王には全く光が効かず、シャインは少し困惑する。だがシャインは負けじと光を放つ。が、やはり神野王の前では光などただの眩しいだけの街灯に過ぎないのである。


「シャイン。結論から言えば、お前に勝ち目はない」


「それでもな、私は死んでいった仲間のために、命懸けなきゃいけないんだよおおお」


 シャインは全身に光を纏わせ、その体で神野王へと突進を仕掛ける。

 神野王も全身に光を纏わせ、シャインへと突進をした。

 両者の光がぶつかり合い、周囲には戦慄にも似た衝撃波が解き放たれることとなった。


「シャイン。お前じゃ勝てねーよ」


 地へと転がったシャイン。

 それを見下すようにして、神野王は悪魔のような目付きでシャインを睨んでいる。シャインはその眼孔に震え、目を合わすことなどできない。


「なあシャイン。今からお前を、喰ってや……」


 神野王がシャインへと手を伸ばした瞬間、一人の男が神野王へと凄まじいまでの蹴りをいれた。神野王はそれに吹き飛ばされ、神野王は氷の大地に激突する。

 氷の大地にはひびが入るも、割れはしない。


「カタストロ。まさか大本命がでてきてくれるとはね」


 神野王は自身へ電撃を纏わせ、カタストロへと飛び蹴りをいれた。だがカタストロはそれを電撃のバリアでが弾き、神野王の顔を掴んだ。


「ねえ神野王。私の仲間を随分と殺してくれたではないか。さすがにさ、これだけ殺されれば虫酸が走るって言うかさ、殺したくなるんだよ」


 カタストロは一気に電流を神野王の脳へと流し込む。だが神野王はその電撃を全身へと渡らせることで、脳へのダメージを激減させた。だがカタストロは手を離さない。

 神野王は火炎に染めた足に力を入れ、カタストロの脇腹へと思いきり蹴りを入れた。カタストロは血を吐き、氷の大地をごろごろと転がった。


「危ない危ない」


 神野王は平然と立つも、脳へのダメージを避けるために左腕に電流を流し込み過ぎたせいで、いくら電気に慣れた神野王の体でも、麻痺してしまって左腕は機能を停止する。


「さすがはカタストロ。〈大災害〉の王はやはり強いな」


「神野王。やはりお前には本気を出さないといけないらしい。『最終形態ハイ・ボルテージ』」


 カタストロは背中から悪魔のような忌々しいまでの翼を生やし、黒い電流を自身の体へと流している。さらには側頭部からは悪魔のようば忌々しいまでの角の生やし、全身を黒い殻で覆っている。


「これが、本物の悪魔だよ」


 カタストロは、悪魔であった。

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