第42話 ラーカ
突然のことに、僕は何がなんだか解らなくなっている。
ラーカが僕の子供?ということは、僕は子供を産んだのか!?
いや待て待て。
そもそも魔人が子を産むというのは、ほぼないことである。たとえあったとしても、稀なことである。
魔人は普通、子供を産むではなく子供を創る、つまりは全ての魔人は魔人の手によって人工的に創られているものである。それも魔人の種類によって創り方は様々だ。
金属の魔人は金属で子を創る。
火の魔人は火炎で子を創る。
雷の魔人は雷で子を創る。
と言ったように、それぞれの魔人によって子の創り方は様々だ。
そして、僕は金属の魔人。だが多くを喰らい過ぎたせいで、今ではほぼ全ての魔人を体内に宿している。ということは、この子は一体、どの属性なのだ?
「なあ。お前は何の力が使える?」
「というか、記憶を辿るくらいのことはしてくださいよ。そしたら私のことを思い出せるでしょうに」
そういえば記憶全て取り戻しているんだった。
僕はラーカについてのい記憶を探っていると、とある記憶を思い出していた。
藍原加奈。
そういえば、彼女は一体どこへ行ってしまったのだろうか?あの島での一件以来、僕は彼女を見ていない。
「神野。神野。神野。おい、神野」
ラーカが叫んでいるのが聞こえ、僕は視線にラーカがいるのに気づいた。
どうやら記憶を呼び起こすことに夢中で、ラーカについてのことを忘れてしまったみたいだ。
「すまん、ラーカ。教えてくれないか?」
「解ったよ。こんなことに時間なんて使いたくないしね」
ラーカは淡いため息を吐き、流暢に語り出した。
「私は神野王、あんたによって産み出された個体。で、気になるのはどうやって産み出されたかだけど、それは人工的というより、あなたの分身が私」
「分身!?」
にしては小さすぎるだろ。
さすがにそれを真実だとち理解することはできず、僕は首を傾げる。
「神野王。あなたの複製体をハークも研究していた。けどハークの研究施設は〈大災害〉の襲撃で破壊され、さらには神野王、お前も拐われた」
「それじゃあ何もできなくないか?」
「確かにそうだね。けど、もしハークがゼロから一を産み出せるとしたら、神野王の複製体など簡単に創れてしまう。というより造った。それが私」
「じゃあ全部の魔人の力を持っているのか?」
「そんなわけないんでしょ」
なぜかキレられた。
ラーカはすぐに表情を戻し、再び話に戻る。
「知っての通り、エネルギーが莫大な魔人ほど暴走する可能性が高い。だが私のような小悪魔は、暴走する可能性がゼロ。それは魔人の力をそこまで有していないから。私は土の魔人と雷の魔人のみ。だから今まで暴走したことはない」
「なるほど。だがなぜそんなにも小悪魔がいるんだ?」
「私だけが神野王の子ではない。私たち全百人全員揃って、初めて神野王と同等の能力を得ることとなる」
それを複製体というのか?
劣化版の複製体と言うのなら解るが、わざわざ僕のような悪魔を研究する理由か解らないのだが。
「もしかして、なぜ自分を研究するか解らないって顔してるね」
なぜ解った!?
「なぜこぞって皆が神野王を研究するか?それは、あなたは巨大隕石にも匹敵するエネルギーを持っている。だから〈大災害〉も魔人研究学会も、環境局も、皆神野王の研究をする」
「だが、巨大隕石に匹敵するエネルギーがあったとして、何に使うんだ?」
「何のために巨大隕石の例えを使ったと思ってるの?」
おいおい、まさかそれって……!?
どうやら僕の表情を見て察したのか、僕が何を考えているのか、大体のことは解ったらしい。
「そう。もうじき、この世界に巨大隕石が"降る"」
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