第14話 戦慄する大迷宮
「将軍。どのように裏切り者かを判断するのでしょうか?」
「簡単だよ神野。裏切り者は第四環境軍中将の三人全員」
「は!?」
確か中将は将軍の一個下の階級だったはず。
そんな階級を得られる程の逸材が、しかも三人とも〈大災害〉の関係者。そんなこと、ありえるのか?
「神野。もしかしたらここで大きな戦いが起きる。今度こそは、早乙女を護ってやれよ。
根羅々将軍は思い詰めた顔をしながら、僕の肩を叩いてそう言った。
どうしてか、根羅々将軍の顔からは後悔を感じてしまう。
「斬花。ちょっと風に当たってくる」
「まだ〈大災害〉のメンバーが潜んでいるかもしれないから気を付けろよ」
「……ああ」
根羅々将軍はこの一室を出ていった。
僕と将軍はモニターに映る第四環境軍の中将たちの様子を見る。
見た感じ違和感は感じられないが、三人とも汗を大量に流している。
やはり……彼らが裏切り者なのか……。
「緊急放送、館内に、〈大災害〉のメンバーが多数出現。既に死傷者は百を越えています。早急に対処せよ」
「ありえ、ない……」
この館内全域に放送が響き渡る。
廊下のモニターを見てみると、そこに映っていたのは、
「し、侵入者!? うああああぁぁ」
顔を"災"という文字が書かれた紙で覆っている者たちが、この館内にいる兵士を次々に攻撃していく。
〈大災害〉のメンバーである彼らは、恩恵を使ってここ第四環境軍の兵士を倒しているようなのだが……その方法が火炎!?
「おかしいな!」
将軍はモニターに寄って、違和感を悟る。
「恩恵は風、花、雪などの自然にあるもののみ。確かに火炎も自然界には存在する。だがそれは恩恵として存在はしていない。というのに、どうして彼らは火炎の恩恵を授かっている?」
将軍は目を丸くして驚いている。
会議室を見てみると、そこには火炎の能力者は侵入していない。していないのに……
「がっ……」
首を掴まれ、上に持ち上げられて壁に体を擦り付けられている男が一人。
対して男の首を掴んでいる男は、髪の毛を木の根に変化させ、その髪の毛一本一本を蛇のように鋭くさせ、その蛇の髪で男の体を噛み砕いていく。
木の能力。
それは木属性の環境軍である第四環境軍に多くいる。
「将軍……。第四環境軍中将三名が……我々民間環境軍の兵士ならびに、第四環境軍の兵士を……殺害しました」
「…………」
今起こる多くの事態に、僕たちの頭はついていかない。
こうも敵の思惑どおりに動いてしまうと、僕たちは弱いのだと思い知らされる。
「神野。止まるな。行くぞ」
将軍の背中に、僕と青薔薇戦、早乙女はついていく。
「誰一人、私のそばから離れるな」
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