第7話 強くなりたい

 僕たちの乗る気球船は、第四環境軍の基地がある島へとついた。

 僕たちは気球船から降りると、第四環境軍の者たちが出迎えてきた。


「お久しぶりです。民間環境軍将軍、刀術斬花様」


「よしてくれよ。君と私は立場が同じであろう。それに昔ながらの幼馴染みであるだろう」


「そうだな。ところで、視界を奪われた少女というのは、原因は分かっているのか?」


「ああ。多分光を操る能力者が、早乙女の目から光を奪ったのだろう。その結果、早乙女の視界は真っ暗のまま、何も見えずにさ迷っている」


「なるほど。だが知っての通り、第四環境軍は木属性の部隊。光にはあまり詳しくない」


 第四環境軍の将軍ーー木術根羅々ねららは顔を曇らした。

 だが僕たちの将軍は根羅々の頭をなで、優しく呟いた。


「根羅々。早乙女はそう簡単には壊れない。だから根羅々が後悔する必要はない。それより、神野が特訓したいらしい。誰かと戦わせてくれ」


「ああ。神野、君。じゃあ地下室へ向かってくれ」


「はい」


 僕は一人の男に案内され、地下にある巨大な一室へと案内された。

 その地下室には既に一人の男がいた。


 尻から木の根が尻尾のように生えており、ブーツを履いてスーツを着て今にもパーティーに行くかのような服装をした一人の男。


「お前が神野王か?」


「ああ。僕が神野王だ」


「お前。強くなりたいのだろう。なら全力でかかってこい。一撃でも攻撃を当てられれば、君には次の訓練を受けさせてやろう」


 その男は尻尾を地に叩きつけた。

 かかってこいという合図なのだろう。


 僕は男の目を凝視し、彼の能力をコピーする。僕の瞳は緑色に染まった。

 僕は彼と同様に尻から尻尾を生やす。男に比べて僕の尻尾は細くて短い。


「なるほど。コピー能力者か」


 男は驚きはするが、怯えはしていない。

 きっと、自分の方が強いと確信しているのであろう。


 僕は汗を垂らすが、まだ扱い慣れない尻尾を振るい上げ、男へと駆ける。


「はああああああぁぁぁぁ」


 回転して尻尾を男の頭部へと振るうが、男は一歩も動かず尻尾を伸ばして僕の尻尾を軽々と受け止める。僕は尻尾を蹴って後ろへと飛び、尻尾を地につけて着地する。

 着地後、尻尾を強く振り上げ、高く飛ぶ。天へと高く飛ぶ、回転しながら尻尾で男へと振り下げる。だが再び尻尾で受け止められる。


「神野王。その程度か?」


 男は一歩も動かず、僕を圧倒している。

 このままでは勝てないと思った僕は、尻尾を伸ばして太く丈夫にする。


「この尻尾なら、一撃くらい」


 僕はその尻尾を後方へと大きく振るい、その尻尾を真っ直ぐ男へと突く。

 だが男は尻尾の形状を円形の盾のように変形させ、僕の尻尾を受け止める。だが、僕は足を踏み込み、そのまま男を押す。


「強くならないといけないんだ。僕は、強くならないと」


 そのまま男を尻尾で吹き飛ばし、僕は吹き飛んだ男の腹へと尻尾を伸ばす。


「いけええええええええええええ」

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