第15話 人魂

夏の休暇を過ごすため、C県にきていた。

昼間は、海水浴で賑わう浜辺も夕方には人の姿がほとんどない。


何気なく見上げた空は、焼けてるように赤く、雲ひとつなかった。


そんななか、灰色物体がゆらゆら浮かぶように飛んでいた。

それは、ハンドボールぐらいの大きさの球体で、尾を長く引いていた。

私には、雲のような霧状の塊にみえた。


何処へ行くことなく、浜を徘徊する。

手に届きそうな高さをゆっくり飛んでいる。

夕焼けの赤を映すことなく、灰色を保っているのである。


そして、沖の方に飛んでいった。


宿に戻ると、近所でご不幸あったらしく喪服を着た女将が慌ただしくでて行った。



人魂とは、火の玉だとこの時まで思っていたが違った事に驚いた。

ただ、人の生死と関わっているのは、間違いないようだ。


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