第14話 霊感トンネル
車の免許を取り立ての学生時代
友人と3人でドライブへ
「吉野、どうしたのこの車。」
「地元の友達から借りた。」
「海行こうぜー」
こうして私達は神奈川の海を目指した。
夕方に到着
海水浴には少し早い6月
それでも砂浜には、人が出ていた。
日も暮れて帰る事に
鈴木が、
「もう少し遊ばね」
私(吉野)は、
「面白いところある」
「ちょっと行ったところに、心霊トンネルがあるんだよな金子」
「えっ!トンネルに行くの?」
金子は嫌そうに答えた。
私と鈴木は、好奇心でワクワクしてた。
怖いもの見たさの無責任な私達にたいし、金子は意気消沈してた。
何故なら彼が、見ることができる力を持っている。
イヤイヤ後部座席に乗る金子に、道案内させてトンネル近くまでついた。
重い口をひらくように金子が
「本当に行くの
まだ、引き返せるよ。
やめない」
行く気満々の私達は、聞く耳を持ってなかった。
「吉野、トンネル
トンネル見えてきたぞ」
「行っけー」
そこは、短いトンネルであった。
スピードを落として、
車は穴にすいこまれるように、漆黒の世界に入った。
少し入った所で金子が
「うわっーーー!」
雄叫びをあげた。
その声で、私は驚きハンドル操作を間違えるところだった。
そのあと、何事もなくトンネルから車が吐き出された。
少し行ったところで車を止めた。
「金子、驚かそうとして叫ぶなんて危ないじゃないか。
もう少しで、壁に激突だぞ」
少し沈黙があって
「トンネルに出たんだ。
お前らには、見えないかもしれないが」
金子が見たモノとは、
トンネル内を車に向かって、白く輝く霊の塊が飛んできた。
みるみる間に近づき、トラックと同じくらいの大きさになった。
そして、私達の車に正面衝突してきたのだと。
車に当たるや否やパッと発光して四方八方へと飛び散った。
「あんな大きいの初めて見た。
霊の集合体だったぞ。
車に当たった後さらに光を増して抜けていったんだぞ。」
流石にUターンして、もう一度トンネルを通ろうなんて気にはなれなかった。
新宿駅まで、二人を送って行く事になった。
元気な鈴木まで、帰路は無口だった。
新宿駅に着くと、慌てて鈴木が助手席より降りた。
「あれから、ずっと気持ち悪いんだよな。
車の中も金子の隣に影が見えるようで」
金子も
「実は、一人まだ車に乗っているんだ。
途中三人は、消えたけどな」
「えっ!いるの!!」
「俺、車乗って帰れないよ。
金子どうにかならない」
平然と、
「たぶん大丈夫だと思うけどな」
私は、泣きそうな顔しながら金子に懇願した。
「やってみるよ」
と言って再び後部座席へ
旗から見ると、金子一人が身ぶり手振りしながら話している。
不思議な光景だが、
私には祈る気持ちでいっぱいであった。
金子がゆっくりと降りてきた。
間髪いれず
「どうだった」
「降りてくれたよ。
ほら、いま彼処に」
誰もいないガードレールを指差した。
金子からは、お塩とお酒を車に供えておいてくれといわれ解散した。
帰りは私一人
怖い。
恐怖を抱えなが運転をした。
車庫に車を置いたら、お塩をダッシュボードの上に置いた。
ワンカップ(酒)を運転席に置き帰宅。
翌日、何事も言わずに友人に車を返した。
その後、車についての詳細はわからないが、
持ち主は元気であった。
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