第9話 夏合宿での体験3
6日目を迎えた
この日初めて地元の人と交流ができた。
といっても夏休み中の小学生の勝君、洋子ちゃんの兄弟だ。
いつもコートを見にきていたらしく、テニスに興味をもっていた。
最初に女性陣が彼を招き入れて、テニスを教えていた。
今までの怪奇現象が無かったぐらい、子供達の笑顔が打ち消していった。
一番この子達から懐かれているユイが
「明日帰っちゃうんだよね。残念、せっかく仲良くなれたのに。
そうだ、今夜花火やるから夜おいでよ」
少し躊躇したようだが
「うん!わかった」
そう言って子供達と別れた。
午後、室内練習・最後のミーティング
食事を終え花火大会へ。
勝君、洋子ちゃんはすでに来て、私達の来るのを待っていた。
「遅くなって、ごめんね」
とユイが声かけた。
「あれ、別のお姉ちゃんがお話してくれていたよ」
別な人がいたのかなと思ったぐらいで、気にもとめなかった。
宿舎の前の広場での花火は、嫌なことを忘れるくらい綺麗にみえた。
花火が終わり兄弟が帰るとき、洋子ちゃんが
「あっ!お姉ちゃんだ」
と大きな声で、私達の部屋に向かって手を振っている。
私には、全く見えない。
誰かいるのか。
勝君も
「バイバイ」
と誰もいない部屋に手を振って帰っていった。
私の傍らにチサが来て
「濡れていて黒く長い髪の女の人がこっち見てる」
「窓際にへばりついて、じっと見てる」
背筋が寒くなった。
私達全員が、恐ろしい気持ちでいっぱいになった。
「部屋に戻れないな」
「1階の広間で朝まで過ごすか」
「ムリムリ、帰りたい」
「荷物どうする」
「寝られない」
「吐きそう」
などなど声があがった。
最終日まで、こんな恐怖体験するとは。
結局、全員朝まで広間で一夜を明かした。
恐怖で寝れないと思ったが、意外と仲間のいる安心感かうつらうつらして寝てしまった。
朝が来て、部屋に戻り身支度をして宿舎を後にする事にした。
帰りの車中タクヤがしきりに左足を気にしてる。
「わっ!」
いきなり叫んだ
「見てくれこれ」
タクヤの左ふくらはぎには、強く掴んだあと残っていた。
今回の件に関して、何も原因がわからないまま終わった。
左足に纏わる何かしか。
帰ってから何事もなく、いつものようにサークル活動をしている。
だけど夏の合宿について、誰一人話さなかった。
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