第15話 ウィンディーネのお礼

泉の精霊はガクリと地面に膝をつき、土門さんへのお礼に、もう自らの身体を捧げるしかないとかブツブツ言っている。


「土門さん、もうそれをありがたく貰っとけば?」

プルプル震えている泉の精霊があまりに哀れなのであたしは土門さんの背中をつつきながら言った。


「そうだな回復魔法が効かない病気とかあるかも知れないから『エリクサー』を貰っておくよ」

『ハイっ、ヤスアキ様どうぞ』

泉の精霊は良い笑顔で土門さんに『エリクサー』を差し出した。


~・~・~


巨大スライムを倒したため瘴気が祓われて、生命の泉からは清浄な水が滔々と湧き出ていた、そのキレイな湧き水であたし達は水筒やペットボトルを満たした。


「水は補充出来たけど食べ物が・・・」

「とりあえず3分待て」

泉の水を登山用のガスコンロで沸かしてカップラーメンを作っている、ガスコンロもカップラーメンも土門さんのクルマに積んであった。


「あのクルマ、何でも積んでるね」

あたしはズルズルとラーメンを食べながら感心した。

「食料はこれで最後だけどな」

「マジですか!」

最後の食料と聞いてあたしは絶句した。


『これ初めて食べますけど美味しいですね』

土門さんの隣に座って水の大精霊ウィンディーネだという生命の泉の精霊が箸を器用に使ってカップラーメンをすすってた、女神のような容姿に全く似合ってない。


「あたし達の最後の食料を何で貴女が食べてるの!」

『ヤスアキ様~、あの娘がイジメる~』

そう訴えながら生命の泉の精霊こと水の大精霊ウィンディーネは土門さんの背中にピトっとひっついた、どうやら陰陽師という職業は精霊に好かれ易いらしくすっかり懐いてしまっているようだ。


~・~・~


この世界の精霊


火、水、風、土の四種の元素の精霊が数が多く力も持っている。

更に光、闇の二種を加えて六精霊とも呼ばれている。

光の精霊は昼間に力が強く、闇の精霊は夜間に強い。


大精霊:人の姿をしている、精霊としての力も強く、自然界の力を司る半神的な存在。

この世界の歴史やお伽噺に度々登場しているらしい。


生命の泉の精霊は水の大精霊(ウィンディーネ)である。


森の大精霊(ドライアド):年経た樹木の精霊。


小精霊:背中に羽根を生やした小さな妖精のような姿をしている、人語を解し気に入った相手に精霊の力を貸し与える。


風の小精霊(エアリアル):大気の精


火の小精霊(サラマンダー):火の精


土の小精霊(ノーム):大地の精


精霊:その辺に漂う雑魚、人語は解せないが気紛れに力を貸してくれる事がある。


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