第14話 生命の泉

テレッテレッテ~♪

『まものをたおした!』

しばらくすると頭の中にアナウンスが流れた。


土門さんの太陽光を使った攻撃魔法『ソーラー・システム』は巨大スライムと共に泉の周囲の瘴気をも灼き払っていた。


巨大スライムが蒸発した泉からはキレイな水がこんこんと湧き出し、周囲には清浄な空気が漂っている。


『ヤスアキ様、ありがとうございました』

澄んだ声が聴こえた。


「うわっ、美人!」

さっきまでヨレヨレだった泉の精霊がまるで女神のように美しくなってた、いや『水の女神』より女神っぽい。

(そんな事無いですー!)

なんか空耳かな?


泉の精霊は背中まで伸ばした水色の美しい髪に蒼い瞳をした美女の姿になり、女性らしい豊満な肢体をトーガのようなゆったりとした衣服に包んでいた。


『巨大スライムに奪われていた『生命の泉』の霊力を取り戻す事が出来、私も本来の姿に戻れました、ヤスアキ様、貴方こそは【真の勇者】です』

「あー、【エセ勇者】でどうもすいません」

【勇者】なのに何もしていないあたしはちょっと落ち込んだ。


『これからは『生命の泉』の霊力でこの森も少しずつ浄化していく事が出来そうです』

巨大スライムが『生命の泉』の霊力を吸収ドレインして瘴気をバラ撒いたせいでこんな怪しげな森になったらしい。


『ヤスアキ様、助けていただいたお礼に貴方に『水の精霊ウィンディーネの加護』を授けましょう』

泉の精霊が土門さんに微笑みかける。

「あー、実はもう『水の女神の加護』を受けているんだが…」

土門さんは困ったような顔で答える。

さすがに『水の精霊の加護』より『水の女神の加護』の方が強力だ。

新米女神らしい『水の女神』よりも『泉の精霊』の方が女神っぽいけど。

(そんな事無いですー!)

おっと、また空耳が。。。


『じょ、上位互換じゃないですか・・・それでは、水属性の魔法・・・も使えましたね』

「使えるな」

『えーと、お礼をどうしましょう』

泉の精霊は困り顔で考え込んだ。


『そうだ、ヤスアキ様、これを差し上げます』

泉の精霊はゲームで出てくるポーションのようなガラス瓶を取り出した。

「これは?」

『霊薬『エリクサー』です、どんな怪我や病気でも治せるんですよ』

「えーと、俺のジョブは【回復術師ヒーラー】なんだけど」

『か、かいふくじゅつし?』

泉の精霊はガクリと膝を地面についた。

貴重な霊薬だろうと回復魔法を使える高レベルのヒーラーの土門さんには余り必要には思えない。


『もう、こうなったら我が身をヤスアキ様に捧げるしか…』

おいっ!

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