第5話 不死

「あっ、そうだ、土門さんの職業はなんです?【聖騎士パラディン】ですか? それとも【賢者マギ】だとか?」


「おっと、ちょっと待った」

あたしがジョブを聞こうとした瞬間、土門さんはスーツの脇の下に吊っていた革製のホルスターから銀色の大型拳銃(デザートイーグル)を目にも止まらない速さで抜いた。

「え゛?」

ドンッ

銃口から炎と轟音と共に銃弾が発射される。


『げぼぁ!』

いつの間にか先ほどの魔族がクルマのタイヤの下から這い出てあたしの後ろに立っていた、ヤバい、全然気がつかなかった!


魔族は銃で撃たれた胸を手で押さえている、その指の間からどす黒い血がドクドク吹き出していた。

『こ、このようなモノ、我には効かぬわ!』

「えっ、でも、それ、だいぶ効いてるっぽくない?」

魔族の胸の銃創からダラダラと流れる血を見てあたしは突っ込んだ。


『き、効かぬ!』

しかし、魔族はそう言い張った。

「じゃあ、もう一発」

ドンッ

土門さんは拳銃(後日、デザートイーグル.357マグナムと、以下略)の二発目でヘッドショットを決めた。

魔族の額にぽっかり穴が開き、後頭部から脳漿と骨片が飛び散る。


「微塵も容赦が無い~」

血生臭い光景にあたしはドン引きしていた、スプラッタはヤメテ。


銃で撃たれた魔族は地面に倒れ伏した、人間なら致命傷だろう、人間なら・・・


「『魔眼鑑定』!」

あたしは『鑑定』スキルを発動した、あたしの右目の瞳が金色に輝く。


「どうだ?」

地面に横たわる魔族を見下ろしながら土門さんが聞いてきた。

普通なら即死なんだけど、念のためあたしの『鑑定』スキルで魔族のステータスを確認していた。


『鑑定結果』

名前:魔導鬼

種族:魔族

性別:不明

年齢:不明

職業:魔導師Lv52

称号:魔王軍四天王

状態:瀕死()

スキル:不明


瀕死って、死んでないじゃない!


「うーん、状態のステータスが瀕死(回復中)ってなってる」

「脳ミソを吹っ飛ばされても死なないって、流石はファンタジー世界だな」

土門さんは拳銃から弾倉マガジンを抜きながらヤレヤレと首を振ってる。


「この世界の魔族は地球の吸血鬼バンパイアみたいに弱点以外への攻撃は回復してしまうのかな?」

「へっ、地球の吸血鬼って?」

あたしはピキって固まった。


「光君、どうかしたかい?」

「地球にいるんですか吸血鬼?」

「勿論いるよ、吸血鬼も悪魔も妖怪も」

土門さんはあっさり言った。


「まあ、政府が報道規制とかしてるから都市伝説レベルでしか知られてないけどね」

意外と地球もファンタジー世界だった。

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