第4話 交通事故(故意)
ガキッ、ブルルル
魔族を轢いたクルマは魔族を轢いたのに気付いたのかそろそろとバックした。
ブルル、メキッ!
『ごはぁ』
いや、クルマはバックしたかと思えばまた前進して魔族をタイヤで轢いた。
ブルル、メキッ ブルル、ボキッ ブルル、メキメキッ
トドメを刺すかのように何度も繰り返し魔族を轢いている。
「こ、殺しにかかってる・・・(汗)」
流石のあたしも眼前の光景にちょっとひいた、怖ええ。
トラックやダンプが交通事故を起こした時、下手に被害者に後遺症が残ったりしたら賠償金が大変な事になるから繰り返し轢いてキッチリ止めを刺すらしいって本当かデマかわからない話をお母さんが近所のおばちゃんとしていたのを思い出してしまった。
何度も轢かれた魔族はクルマの下でピクピクと断末魔の痙攣をしている。
魔王軍四天王ってもしかして弱い?
ガチャッ
あたしにはジープっぽいとしかわからないクルマ(後日、TOYOTAメガクルーザーという車だと教えて貰った)の運転席のドアが開いた。
黒っぽいスーツの上下を着た若い男の人がクルマから降りて来る。
年齢は20台半ばくらいか、軍用車両を運転していたのに兵隊さんっぽくない、背もそれほど高くなく、身体もゴツくない中肉中背のサラリーマン風の男性だ、優しげな顔立ちでちょっとイケメンかも。
「やあ」
男の人はニッコリ笑い、あたしに向かって片手を軽く上げて挨拶をして来た。
「君、大丈夫だったかい?」
いやー、この人が助けてくれなかったらヤバかった。
「あ、貴方もこの異世界に転移を?」
あたしの問いに男の人は頷いた。
「たぶん君と同じように女神にこの世界に転移させられたようだ、俺は
「あ、あたしはヒカル、
あたしは土門さんにぺこりとお辞儀をした。
「じゃあ、君が女神に選ばれた【勇者】なのかい?」
あたしがちっとも選ばれた【勇者】っぽくない、メガネをかけた童顔の高校生の女の子だからか土門さんは首を傾げた。
「そうです、まあ選ばれた【勇者】って言っても弱いから、転移していきなり魔王軍四天王ってのに殺られそうになりましたけど…」
あたしはちょっと照れながら指で頬を掻いた。
『水の女神』が土門さんを転移してくれて助かった、レベル1勇者のあたしでは魔王軍四天王なんかととてもじゃないけど戦えない。
『水の女神』が応援に
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