チクタク チクタク
過ぎ去っていく時間は
悲しさと恐ろしさの
調味料を加えた
味の薄い高級なスープみたい
スプーンで掬い上げて
ずずずと啜ることに
満更でもない感想を抱くのだけれども
釈然としない
しこりのようなものが
口のなかに残るのもまた事実
もう 誰も戻ってくることのない
テーブルの席にひとり座っている
どうやら 時間に
置いていかれてしまったらしい
部屋から出てみる勇気なんて
ありはしない
もしかしたら この部屋が
世界のすべてかもしれない
なんて夢を描いてみたり
誰かがこの部屋を訪れてくれる
なんて願ってみたり
過ぎ去っていった時間は
虚しさの塊で
おもちゃの積み木のように
軽々と積み上げられていく
自由に生きてきたつもりなのに
気がつけば 自由という言葉に
囚われて 重みを嘆いている
大層な辞書を引っ張り出して
自由の意味を引いてみても
上等な紙に 上等なインクで
羅列された文字を
目にするだけだろう
自分の身体に刻みつけなければ
意味なんてわかりはしない
いまを生きたい
いや いまを生きるのだ
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