m27「ゼット・ブル」
こんばんは。クソみたいな熱帯夜、いかがお過ごしでしょうか。夏なんてなくなればいいと真面目に思うアンチサマーアライアンス会長の薮坂です。
本日は、Twitter(ってもう言わないのか)で、もりくぼさんと宇部さんとお話ししてた映画「ゼット・ブル」に対する「忖度なしガチ映画レビュー」です。前回お話しした通り、ウソは上手いけど映画にだけはウソつけない私が、好き勝手に行う毒にも薬にもならない素人の映画レビュー。クソ作だろうが神作だろうが思ったことを口にする、私のストレス発散の場にしたいと思います。
では早速行ってみましょう。今日のレビュー対象は前述の通り、アマプラで見られる映画「ゼット・ブル」です。若干ネタバレあるから注意してね!
>勝手にキャッチコピー
【エナドリで血を洗え! 「ゾルト」を飲めばキミも
>あらすじ
アメリカ・テキサスにある兵器会社アモテック社の経理部で働く主人公デズモンドは、クソ使えねー万年窓際平社員である。
特殊スキルは遅刻とサボり。働いてるフリだけやたら上手い、ここだけは深く共感できるクソ主人公だ。
ちなみにデズモンドには同じ会社で働く有能な幼なじみがいた。ブロンドにメガネ、ややSっ気のある彼女の名前はサマンサ。驚くことにこの映画のヒロインである。
サマンサは無能なデズモンドを何かと気にかけており、二人の仲は「まだ特別な関係ではないけれど……」と言った感じ。まぁ映画にはよくある王道的な設定だ。
さてそんなデズモンドであるが、コイツはマジ無能だ。今日も今日とて遅刻をし、上司にやってこいと言われた報告書も穴だらけ。会社の合併によりデズモンドもリストラ候補に挙がってるのだが、なんか今日は会社の様子がおかしい。
それもそのハズ、新商品として開発したエナジードリンク「ゾルト」が社員に配られ、みんなそれをガブガブと飲んでいたのだ。
さらにはこのエナドリ、兵士用に開発されたブツなのでその効果は「翼を授ける」どころではない。バーサーカーも裸足で逃げ出す狂化っぷり。社員たちは「ゾルト」効果で狂いまくり、オフィスはエナドリで血を洗うまさに地獄絵図と化す。
狂気の坩堝の中、サマンサに呼ばれていたことを思い出したデズモンドは、サマンサを心配して彼女の元へ向かう。しかしそこには、ゾルトを既に半分飲んでしまい、半狂化したサマンサの姿が……!
迫るバーサーカー、血みどろの戦い、そして徐々に狂っていく幼なじみサマンサ。
果たしてデズモンドは、この地獄から彼女を救い出し、会社から脱出することが出来るのか。
デズモンドの生死を賭けた戦いが、今始まる……。
>アホラーコメディ
この映画のジャンルはホラーコメディと銘打たれているが、はっきり言ってアホである。アホラーコメディと言っても差し支えないくらいにアホだ。清々しいほどのアホだ。ホラー要素なんてカケラもない、ただのアホ映画である。
雰囲気としてはゾンビ映画に近いが、パニックホラーではない。定番のゾンビはこちらの言葉も聞かず襲いかかってくるのがデフォルトだが、ゾルト(エナドリ)を飲んだヤツらはバーサク状態にはなるもののまだ「人間的な意思」が残ってる。つまり言葉が(辛うじて)通じるので戦いを回避することも可能ってワケだ。
デズモンドはこのあたりを駆使しつつ、でもやっぱ無理ィ! ってなってバーサーカーどもをぶっ飛ばしていくのだが、ここらへんの描写は正直言って無理がある。
だって万年窓際平社員が三国無双よろしくバッタバタと敵を倒して行くんだぜ? おかしいだろ! でもこの映画の不思議なところは「そうはならんやろ」があんまりないところなんよね。
これは何故かというと、この映画自体がそこまで深く観れないほどのアホ映画だからに他ならない。
つまりは考察というか、そういう「深く考える」ことができなくなるくらいにアホなんよ。
もうね、マジアホ。アメリカ映画が得意とする「視覚的ギャグ」がわりと効いてて(というかそこしかない)、観てるこっちはまぁ飽きない。
ただしシナリオが面白いかと言われると、これも「いやただのアホ」としか言いようがない。つまりシナリオ自体はクソだけど、設定がアホすぎてシナリオのクソさはそんなに気にならないってことなんよね。
>詰めが甘い
この映画、色んなところの詰めが甘い。まぁ「エナドリ飲んだらバーサーカー」って一点突破の設定モノだから仕方ないものの、主人公のキャラ付けもヒロインのキャラ付けも適役のキャラ付けも色んなところが甘い。これは冒頭で思いっきり損をしていて、初めの方は「いやこのくだりいらんやろ」って場面が多いんよね。
もう少し各キャラの「動機」を「画で見せる」ことが必要だったんじゃあないのかな、と思います。そうすればシナリオにもまだ説得力が出たと思うんだけど、まぁ説得力が出たところでアホやからなコレ……。
あとね、アホなんだけども突き抜けきれてないところもマイナスかな。せっかくアホな設定なんだから、もっとアホにすればよかったとも思う。そのあたりは「キッス・アス」とかがマジ上手いんですけど、今回の主人公のデズモンドは「突き抜けきれてないアホ」なんですよ。
どうせならこのアホさを生かして、たとえば「仕事するフリしてジャッキーチェンのカンフー映画を会社で観るのが日課で、今回の騒ぎも我流カンフーで切り抜けて行く」みたいな「強さに対するアホな裏付け」が欲しかった。
なんか、戦いにおいて無駄に「出来る」んですよデズモンド。そういう強さってのはアホな裏付けがあるから納得がいくし、そこがやっぱり面白い要素なんですよね。
今回のデズモンドは仕事サボりながら趣味でクソゲー作ってるんですけど、そこがこのシナリオに全然絡んでこないんすよ。設定がマジ死んでる。もったいない。だからもっと振り切ることが必要かなぁ。
>アホだから許される
シナリオの改善点は山ほどあるし、予算の都合から画もまぁショボいんですけど、「エナドリ飲んでバーサーカー」って本当にアホな設定が効いてて、いろいろ足りないところはあるけれどそれでも許される雰囲気を持ってます。
これは本当に参考になって、つまり突き抜けたアホキャラは大概許されるってことです。突き抜けきれてなくても設定がアホなら許される。これはつまりそう言う映画です。深く考えたらダメだぜ、アホになれよ! ってことですねー。
>この映画のいいところ
結局のところ「エナドリ飲んでバーサーカー」って設定に尽きます。あとはデズモンドの友人キャラがいい味出してた。でもコイツもある意味「突き抜けきれてないサブキャラ」で、もうひと押し欲しかったなぁというところ。
あとはこの映画のラストなんですけど、強烈な既視感が面白い。つまりは90年代の「ラスト爆発させときゃいいだろwww」って系譜をモロに受け継いでて、B級でもアメリカ映画だなぁってところが良かったです。
>結論
90分映画だし観てもまぁ損はない。
ただし何にも残らないぞ!
筋トレしながら観るには最適かもな‼︎
【第1回忖度なし映画レビュー 終】
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