m12「あとがきに代えて」


 こんばんは。2月も3分の1が経過しようとしていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。久しぶりの「今夜も眠らない」、お相手はいつものごとく薮坂です。よろしくお願いします。


 さて。カクヨムコンテスト6、読者選考も終わりましたね。参加された皆さん、お疲れ様でした。皆さんの作品、楽しく読ませて頂きました。

 読もうと思っていたのに期間内に読めなかった作品については私の不徳の致すところ、非常に申し訳なく思っています。


 いや、一文字も読んでもないのに星を入れるのは失礼ではなかろうかと。コンテストってこのあたりが難しいのですよね。次回の参加は未定ですが、参加するとしたら今度は完璧に書き上げてから参加したいと思うところ。やっぱり日々の積み重ねが大切だと思い知らされましたね。



 さて私ごとですが、みなさんの多大なる温かな応援のおかげで、今回のコンテストで初めて10万字以上の作品を書くことができました。ありがとうございます。私自身、非常に満足しているところです。

 きっともうこんなに長い話は書けないなと、わりと本気でそう思います。そして驚くことに、軽い自作ロスに陥ってます。瓶ロスですねー、瓶ロス。笑

 コンテスト期間に入ってから物語を書き終えるまで、仕事が終わったら近くのドトールに行って執筆するという生活を約2ヶ月続けていたので、それがなくなると手持ち無沙汰というか何というか。

 もちろん書き終えた解放感も達成感もあるのですが、ちょっぴり寂しい気持ちにもなっているところであります。


 さて。そんなこんなで、私の中でも思い入れの強くなった今回の作品。あんまり自作を語る機会もないので、なぜこの物語を書いたのか、そのあたりについて語ろうかと思います。

 これはきっと最初で最後。いい機会ですので、がっつりと語っていこうと思います。一度やってみたかったんですよ。よろしければお付き合いくださいませ。



 1、タイトル


 まずこの作品「こちら水瓶署生活安全課防犯係」ですが、タイトルどおり某県に所在する架空の警察署、水瓶署が舞台の警察お仕事小説となっています。

 なぜ「水瓶署みずかめしょ」なのかという話ですか、これは大人気警察マンガ(?)の「こち亀」にならったものです。すげー単純な理由ですよね。

 あと、本当にある警察署の名前と絶対に被ってはいけないということが大前提でしたので(フィクションだから)、「亀」と名のつく警察署はあれど「瓶」はなかったからと言うもっともらしい理由もありました。

 これは結果的によかったかな、と自賛しております。「水瓶署」で検索しても今はこの小説がトップヒットしますので、どこにも迷惑かけてないはず。しかしタイトルって重要ですよねぇ。もっとインパクトある名前にすればよかったかな、とちらっと思ったりもするのですが。



 2、コンセプト


 次にお話の内容、というかコンセプトですが。世の中に警察小説は数あれど、生活安全課を舞台にした小説は少ない(なくはない)ので、主人公の詩織が所属する係は「生活安全課防犯係」にしようと初めから決めていました。ドラマや小説、映画なんかでは刑事部が活躍していますが、生安部もすみっこの影の方で頑張ってんだぜ、と伝えたかったんです。これがコンセプトといえばコンセプトですね。

 さてこの「防犯係」ですが、実は都道府県警察によって、その名称の係が「ある」都道府県と、「ない」都道府県があります。

 私が住む県には、この名称の係はありません。同じ機能を持つ係はもちろん存在しますが、名称は違うんですよね。

 警察は、全国どこでも同じ仕事をしている同じ組織には違いないのですが、こうして都道府県ごとに係の名称が微妙に違うってところも、面白いところかも知れませんね。



 3、登場人物たち


 次は主人公たちキャラクタのお話ですけど、今回の物語の主人公は女性です。名前は上沢詩織。これもあらかじめ決めていたことで、日々悩みながらも前へ前へと進む元気な女性警察官を描きたかったからです。

 対になる準主役は、いつも冷静かつ冷徹で、詩織よりひとつ階級が上の男性の上司、鷹取巡査部長。刑事部組織犯罪対策課出身の変わり種。お話の中では「生活安全課vs刑事課」みたいな構造になってますので、鷹取は生粋の生安課員というところがアクセントになってます。

 ひよっこ警察官・詩織と、高卒で拝命した叩き上げの元刑事・鷹取。この二人のリアリティを追求した男女バディもの。これが今回の物語の骨子です。


 キャラクタの名前については、関西方面の駅名からほとんど取ってます。今回、セリフのあるキャラだけでも結構な数が出てるんで、駅名ルールとか自分で設定しておくと楽ですよね。

 あと男女バディにしたのはですね、以前「貧乏くじ男、東奔西走」という、「こち瓶」の前日譚的なお話を書いた際、主役は指定された上記タイトルの関係から「男」にしたのですけど、やっぱり長編書くなら男女バディだよねーってヤツですね。オッサンばかりの話を書いていても、なかなかキツいものがありますので今回は、自分が書いてて楽しい方を選びました。

 ちなみに「貧乏くじ男、東奔西走」は「同題異話」という過去の自主企画に参加した短編で、本編(こち瓶)ではあまり活躍の場がなかった名谷なたに部長の活躍だとか、谷上たにがみ班長の相変わらずの関西弁だとか、伊川いかわの姉もちょろっと出てたりとか、時系列的には少し前、水瓶署の隣接署である皆戸南署の話になっています。よろしければ暇潰しにどうぞ。テーマはやっぱり行方不明です。



 4、こだわり


 今回の物語を書くにあたって大事にしたことは、やっぱり「リアリティをいかに出すか」というところです。幸い、読んでいただいた皆さんからはそこを評価して頂き、「書いてよかったなぁ」と安心しています。

 いろんなことを出来るだけきちんと調べて書いたので、各都道府県警察によって多少の違いはあれど、今回書いたものは概ね間違ってない情報であると自負しています。今回のお話を書くにあたり、法律書とか文献とかいろいろ読み漁りました。でも一番役に立ったのはやっぱりネット情報ですね!笑

 警察組織って結構ネットに例規や通達とかの情報を公式ページに出しているので、「ネットに公式が情報を出している」=「きっと書いてもOK」みたいなガイドラインで執筆しました。

 調べれば「行方不明者発見活動に関する規則の運用上の留意事項等について」の通達本文すら閲覧できるんですよねー。

 興味ある方は検索してみて下さい。警察の例規とか通達って、すげーカタイ文章の羅列で、多分10秒と読んでられないと思います。笑



 さてさて、何やらいろいろ書いてしまいましたが結論を言うと、


 日陰部署にも光を!

 書いてて楽しい男女バディもの!

 リアリティがセールスポイント!

 前日譚もあるよ!


 ……こんな感じですかね。笑




 5、今後の展望


 さて、今後の展望ですが。

 この2ヶ月は自分なりに執筆を頑張った期間でしたし、ある意味警察に染まった期間でしたので、しばらくはゆっくりまったりしょーもない話を書いて行きたいと思っています。何も考えず気楽に読める暇つぶし小説。次の目標はコレですね!

 というのも今まさに燃え尽き症候群なんですよ。一度でいいから10万字を超えるものを書きたいと思っていてそれを達成したので、いろいろ満足してしまってる状態です。

 なのでしばらく書くのを休んでると、もう二度と何も書けなくなりそうです。執筆を一生の趣味にするためにも、また何か書き始めたいと思います。


 その時はぜひ、よろしくお願いします!



 最後になりましたが、本作を応援して頂いた皆様に心からの感謝を。私の作品は、皆様の温かい応援で成り立っています。

 いつも本当に、ありがとうございます!



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