第11話 分析

翌日は朝五時に起こされた。寺の掃除を手伝い、その後座禅の時間を経て朝飯となる。


慣れない正座に俺は足が痺れてしまったが、優仁は涼しい顔をしている。


「お前なんで平気なんだよ…」


「足の構成物質を一時的に変化させた」


しれっと言うコイツに腹が立って仕方ない。人間じゃないっていうのは最強に近いのか。


「で、今日の予定なんだけど、美夜子さんに逢いに行かない?」


「は?」


「どうしてももう一度彼女に逢いたいんだ」


頬杖をつきそんな風に言う優仁を俺は殴ろうとしたが、ひょいと避けられる。


「君は本当に嫉妬深いんだな。違うよ、そんなんじゃない」


「ああ?じゃあなんで逢いたいとかぬかすんだ?」


「これだって」


優仁が舌を出す。するとその上には髪の毛が一本。


「汚ねえな、なんで髪の毛食ってんだよ」


「分析の為だよ…さて、行こうか奏多」


結局何も説明してくれない優仁にイライラしつつ、俺達は宿坊を後にした。

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