第8話 微睡みを破る存在
「奏多、風呂は?」
作務衣を羽織ながら優仁が聞いてくる。俺は布団の上に全裸で仰向けに寝そべったままだ。
クソッ、お前が足腰立たないまでヤりまくったんじゃねえか…
と、口に出すのも恥ずかしいから黙っておく。
優仁はくすりと笑い。
「…とても可愛かったよ。じゃあ、行ってくるね」
去り際にめちゃくちゃ照れることを言いやがる。俺が枕をぶん投げる前に、奴は障子を閉めて笑いながら去っていく。
和室に独りになった。ゴロンと寝そべり、煤けた天井を見つめる。
明日は、優仁が食べたがっていた鰊蕎麦の店に行ってやろう。…そのあと美夜子に連絡して事情を訊ねてみるか。
そんなことを考えていた時に、廊下に面する障子に影が映った。視線をそちらに投げると、佇んでいる人のシルエットがある。
もう優仁が帰ってきたのか?早いような気がするが。声をかけようとして息を飲む。
なにかがおかしい。
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