第7話 二人きりの
宿坊は寺と同じ敷地内にあり、宿代が安い代わりに朝のお勤めがあると聞かされた。
掃除をし、座禅を組むのだとか。俺も優仁も日本人だが座禅なんて初めてだ。とはいえそれは明日の話で、今夜は精進料理を食べて風呂に入り寝るだけらしい。
部屋は六畳一間。布団の上げ下げも自分たちでする。まだ優仁が黙っているので、俺は背を向けている彼に声をかける。
「…悪かったよ、俺が」
優仁は答えない。
「ただ、この旅行は俺とお前の初めての…は、初めての…だから、アンジェラがあんな風に気を使ってくれなくとも、元々、俺はーー…」
その先の言葉は遮られた。
彼が俺の唇を奪ったから。
「…っ…!」
「最初からそう、素直に言えば良いのに」
いつの間にか腰を抱き寄せられ、俺は優仁の腕の中にいる。
「じゃあ、良いんだね?」
それが何を意味するかぐらい俺にもわかる。
だから、黙って頷く。
そのまま彼は俺を布団に押し倒した。
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