第6話 喧嘩
「んなこと言っても、景観損なうまで地上げするとか相当金かかるんじゃねえの?」
「そうですけど…実は最近奇妙な事件が連発していて、古い京都の家屋に住んでいた人たちが次々と家を離れているんです」
美夜子の話しに俺はピクリと眉を動かす。
奇妙な事件とは、まさか…
「その事件とやらをぜひ話してください。彼が解決できるかもしれませんよ。何故なら彼はーー…むぐっ」
言いかけた優仁の口を強引に塞いだ。
「ありがとうございます。でもこれは、京都の人間が解決すべきことですし…お気持ちだけ有り難く受け取っておきますね」
彼女はそろそろお暇します、と言い残し去っていった。一応連絡先は交換したので、後から話を聞こうと思えば聞けるが。
「奏多、なんで話を聞いてあげなかったんだい?悪霊がらみの事件かもしれないのに」
厳しい口調で絡んでくる優仁。俺はひらひらと手を振り。
「忘れたのかよ。これは慰安旅行だ。俺は休みに来たんだよ?余計な仕事はしたくねえ」
「ふうん…見損なったね」
「…俺は慈善家じゃない。エクソシストは職業だ。儲からない仕事をオフにまでやるほどマゾじゃねえんだよ」
「……」
それから宿坊につくまで、優仁は一言も口を聞いてくれなかった。
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