ファデス地区編
第30話 事情聴取1
俺とナオキは窓が黒く覆われている車に乗せられ、特に何もされることなく、しばらく車の振動に身をゆだねていた
(……はあ、説明するにしてもなあ……シカリはナオキが知ってるから良いとして、あのホウガとかいう奴は本当に知らないんだよな……謎の男がいましたあーーでいいか)
そんなこんな考えてナオキをみると丁度目があった
ナオキ「……そういえばまだちゃんと落ち着いて話せて無かったな」
「気にするな、俺もお前もそんな状態じゃなかったしな」
ナオキ「あの子供たちなんだけどさ、母親達が腰までつかりながら全力で守っていた子たちなんだ」
俺は驚いた、てっきりダムでの出来事をはなすと思ったからだ
「そうなのか…まあ、確かに子供の背丈では口にもろに汚水が流れ込んでいただろうからな」
ナオキ「……俺が助けられたのはあれだけだった……流されそうになる母子も母親まで抱きかかえて跳び上がることができなかった……子供二人が限界だった……」
(……無理もない、多量の水の付着によって表面積の広い母親はかなり重かったはずだ、しかも汚水ともなればさらに重くなる。子供二人持ち上げて汚水で不安定になったわずかな足場から跳び上がるだけでも凄いことだ)
「ならもっと強くなるしかないんじゃないか?俺も今回の件で自分がどれほど弱いのか思い知ったよ……汎用性があっても決定打に欠ける、身体能力が低いから救助も大変、力を込めても規模が小さい
………真面目に木の棒で剣術でも稽古してたらまた変わってたのかなって思うよ……」
ナオキ「力が無い、それは俺も同じさ 崖を崩壊させる威力を持つ俺の力でも黒い波を止めることも、薙ぎ払うこともできなった……時間稼ぎもできない……知恵もない……悔しくて屋根の上で泣いちまったんだ」
「そうか……」
俺はそれ以上何も言うことができずに黙り込んでしまった
後部座席の二人の間にしばらく沈黙が流れる ナオキもそれ以上は何も言わなかった
テトロ「つきましたよ、降りてください」
どうやら着いたようだ、俺とナオキは無言で車を降りるが次の瞬間
「おおおおおおーーー!!!」
二人は歓声をあげた
そこには帝国の国旗?を左右に掲げた軍らしき立派な建物が建っていた
テトロ「どうぞこちらへ」
テトロはにっこり笑いながら案内する
(……腹黒そうで危険そうな笑みだな)
俺はもう一度警戒し直し、案内に従い建物に入っていく
建物の中はなんと言うか広く、きれいで接待用の建物という感じだった。地面には赤いじゅうたんが敷かれ、壁には軍の歴代のお偉いさんの写真が飾ってあった。
俺たちは中央の階段を上り、すぐの部屋に入った
テトロがノックをすると扉が空き、俺たちは中に入れられた
???「退院してすぐで申し訳ない、君たちがレイト君とナオキ君だね?」
白い口髭をはやしたおなかの出た男が話しかける
「あ、はい そうですが…」
俺とナオキは同じような反応をする
???「そうか、そうかいや固くならなくて良いさ。おかけください」
俺とナオキは高級そうなソファーに座りその男と向き合う、扉にはテトロがふさぐように立っていた
???「では自己紹介をさせてもらおう。私の名前はエア=ガイルだ」
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