第31話 事情聴取2

ガイル「さて……早速だが話してはくれないかね?村を黒い津波が襲ったと聞いているが…川の上流から流れてきたのは分かっている。そして君たちが朝から森に向かったことも知っている。何があったのかね?」


(……森に向かったことを知っている??なぜそんなことを知っているんだ??正直に答えていいのか?)




ナオキ「俺たちは修行をするために森に入りました。そして川の上流でダムを見つけました」




ガイル「ダム?あそこにそんなものが建設されたと報告は無いが……」




ナオキ「でも確かにありました、そして変な男もいました」


ガイルとテトロは黙って聞く




ナオキ「その男はホウガと名乗り、白衣を着た若い小柄の男でした。俺たちはそいつと戦い、拘束しましたが最後の悪あがきでダムを破壊されてしまいました」




ガイル「なぜ戦うことになったんだ?」




「ダムの水は殺人バクテリアとかいう体内に入ると毒素をだして神経系に重大な影響を与える菌によって汚染されており、その菌の毒素は菌の死骸から水に溶けだし黒い水となってダムに溜まっていたんです。俺たちはそれをなんとかしようと動いていたら管理者と思われる男と戦うことになって……」




ナオキ「あいつは元々村が汚染されていることをいいことにダムからも毒素を垂れ流しにして実験をしていたんだ!だから戦った!」




ガイル「分かった、理由は理解した。それが本当ならこちらも調査を急がねばならん。それで?その男は一人だけだったのか?」


「いやー……」


と俺が言おうとするとそれを遮りナオキが




ナオキ「はい!おそらくそうではないかと」


ときっぱりと言い切った




(シカリのことは隠すつもりか?いや、まてよ村の中にシカリのような敵に通じる人間がいたと分かれば新参者の俺も仲間と疑われたりするのではないか??)


俺がそんな風に考えているとガイルが、




ガイル「先ほどは何を言おうとしていたのかね?レイトくん」


(やべ!!まだ考えがまとまってないのに!!)


「いやー何というのか、そのホウガという男がダムの爆破後に姿を消しまして……そもそもそいつどこかで生きてる可能性があるかなと……」


質問とは関係ない解答だがこれはこれで話題を変えられるかもしれない




ガイル「ふーむ……それは問題だな、次の被害が出る前に見つけなければ……」




ナオキ「ダムの崩壊後はもう全力で戻って救助をしていました。助かったのは子供たちだけです」




ガイル「そのようだな……ほかに何か知っていることはあるかね?」




ナオキ「いや……特には、俺たちも何でダムがあったのかさえ知らなかったですし」




「そのダムも短期間で簡単に作られたものらしく、崩れるのも早かったですね」




ガイル「ダムの施設内の情報はすべて汚水の中というわけか、湊村の調査をしなければあとは何とも言えんな」


ガイルは腕を組むとしばらく目をつぶった


俺とナオキはそれ以上何も話さなかった




・・・数分後、ガイルは目を開け、


ガイル「すまんすまん、もうないなら帰ってもらって構わん、ちょうどお迎えも来たようだしな。」


「???」


テトロはドアを開け




テトロ「どうぞ、お気をつけてお帰りください」


というので、俺とナオキは部屋を出た


そして部屋を出る際に、




ガイル「そのホウガという奴は能力者だな?そしてそれを隠すお前たちも能力者なのだろ?」


俺は心臓がドキン!とした それはそうだ、能力者と戦ったなんて言えば自分たちもそうだと言っているようなものだからだ。そして転生者しか能力を使えないという事実を知っていれば当然、能力者であることは隠すべきである


(……よりによって帝国のお偉いさんにばれるとは……)


俺は急激に自分の鼓動が脈打つのを感じた。しかしガイルは特に何もすることなく




ガイル「ご協力感謝する!」


と深々と頭を下げたので俺たちは会釈し部屋を後にした


そのまま促されるままに建物を出ると大男が一人立っていた




「長老!?」


俺とナオキはいつものように同時に叫んだのであった

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る