第28話 崩壊した湊村

……どれだけの時間が経ったのだろう


俺はずっと村が黒く染まっていくのをただ見ていた


距離が遠いため人の姿も見えない、当然悲鳴も聞こえない


向かおうと思えばできるのだが、ナオキのように移動できないのでもう何もできることがない


……そもそももう何もやる気が起きなかった 


どうせもう何もできない 


俺には何の力もなない


太陽がだいぶ傾き始めた時、黒い水が引き始めたことが分かった


「窪地にはまだ水が溜まってるが、場所によってはもう引いてるようだな」


俺は準備して村に向かった


草原はぬかるみ、酷い匂いを放っていた 水が引き始めなければさすがにやばかっただろう


(村人に避難する時間はなかった……ナオキは間に合っただろうか……)


村に着くと案の定、家屋は全壊してがれきまみれになっていた


除染していた畑も、浄化中だった汚水湖ももう見る影が無い


(何もかも黒ずんでいる……ナオキは無事だろうか…??)


ぐちゃぐちゃと音を立てながら村を見て回ると……ナオキだ……


長老の色は頑丈な柱で作られていたようでなんとか原型を残しており、ナオキはその上に何人かの子供たちと座り込んでいた


(助けたのか……!?)


ナオキの体にはところどころ泥が付着しており、足は泥で覆われ真っ黒になっていた


そしてナオキほどではないが、子供にも泥がついているようだ


俺はナオキに声をかける


「おーい!ナオキー!!大丈夫かあーー」


子供たちが気づきナオキに知らせると ナオキはゆっくり振り返り 無言で片手を挙げた


俺はナオキの横に立つとあたりを見回した


(この建物以外もう全滅か……ほかの村人の生存は絶望的だな、バクテリアにより汚染された水は致死性がある…先祖の霊による浄化も間に合わなかっただろう……)


絶望的な光景のなかナオキが聞いてきた


ナオキ「これ……浄化できるか……?」


俺は首をよこに振りながら


「すまない……この規模では無理だ……すでに土壌が広範囲で汚染されている、ただでさへ過去の毒が噴出しているのにその上から毒で覆われた以上、浄化には一体何年かかるか分からない……毒の成分も分からないしな…」


ナオキ「そうか……」


(汚染された自然を戻すには自然の浄化に任せて一度森まで戻すしかない、今までが異常だったんだ……)


「それよりも、病院に行くかきれいな水で洗い流した方がいい!この近くに他に水源は無いのか?」


ナオキ「水源は井戸だけだ、川は木咲の森の川しかない……」


「川はそもそも汚染されてる…病院は?」


ナオキ「この村には無い、医者が汚染を怖がって診療所を作りたがらないんだよ、月に一度慈善団体が検診に来るぐらいだ  ここから近い病院は……たしかここから東にある八木町にあるはずだ、だがかなり距離があるから数日かかる……」


「くそ!ナオキ!全力で走るぞ!!」


???「大丈夫じゃよ」


その声に振り替えると長老だった

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