第22話 計画

探索してからは収穫が多かった。なにより建物の大きさに対して部屋は少なかったのである


そしてある一室にここで何を培養してるのか、何が目的なのか、そんな重要な資料が雑に保管されていたのだ


ナオキ「ずいぶんと簡単に分かったな」


「もともと気づかれないと踏んで作った施設なのだろう しかし、都市にむけた生物兵器とはな……テロでもするつもりなのか??」


ナオキ「おいおい、見てみろよこれ 『殺人バクテリアによる人体への影響の検証』だってよやっぱりこの汚水が原因なんだ!てかバクテリア?ってなんだ」


「説明は後だ、それが本当ならかなりやばいぞ!……いやちょっと待て、この施設は恐らく何か月も前にできていたんだ なら用水路にいてもおかしくないはず だが村人にそんな危険なバクテリアに感染した人がいるなんて聞いてないぞ」


ナオキ「確かに、そんな話はきいてないな 村には汚染された土壌からあふれ出た毒があるだけだもんな」


俺はその研究資料を読むことにした 色々書いてあるが考察を要約すると体内に侵入したバクテリアは毒素を出しながら体内をめぐり、その毒は徐々に神経を侵し、宿主は死に至る……というものだ


「これを見るになかなかやばいバクテリアが培養されてるみたいだな」


ナオキ「バクテリアか……長老の話ではご先祖の霊は毒を浄化するらしいが・・・バクテリアはさすがに無理だと思うぞ」


「んー……だが毒は確実にこの森の川を流れてる……バクテリアが漏れているのなら今頃村人は体内に侵入され体内から毒素を出され死亡しているはずだ」


ナオキ「バクテリアの毒素が漏れているんじゃないか?」


「それだな……毒素だけなら説明がつく。なら浄化も可能だな。まずはこの汚水からなんとかしよう」


???「そんなことさせるかよ」


議論に集中していて気付かなかったがそこには先ほどの謎の白衣の男が立っていた


汚水で汚れたのか服は着替えられていたがまさにさっきの男だ


ナオキ「てめえ……見せてもらったぞお前の計画をな!!」


???「条件次第では見逃してもよかったが、知ってしまった以上死んでもらはねばならんな!」


(生きてたのかよこいつ……)


ナオキ「てめえ!覚悟しろよ この施設は処理をしてから破壊させてもらうからな!」


???「ふん……もともと毒の吹き出す土地で生きているくせに今更何を言ってんだかな」


ナオキ「だまれ! これから毒を浄化して豊かな村に戻すんだよ!てめえこそ どさくさに紛れてバクテリアから毒を流しやがって!」


???「その資料を読んだのか……まあいい、あのバクテリアはなかなか厄介でな 生体内でないと長生きしないのさ。しかも死ぬと毒素をばらまきやがるから水は汚染されてしまう」


「だからもともと毒で汚染されている村の川で培養したのか 問題にしないために」


???「そういうことだよ、いくつか誤算はあったがね」


ナオキ「……とにかくお前は許さねえ、邪魔をするならただじゃおかないぞ」


???「それはこちらのセリフだよ 死んでもらうといっただろ」


そういうと男は両手を広げる


すると急にあたりが暗くなったと思ったら


ドドドドドドドドド


凄まじい水の音が聞こえる と思った次の瞬間


バリーン バリーン バリーン


窓ガラスの同時に割れる音とともに汚水がダムの施設内に流れ込んでくる


気づくと扉を閉められ、男はいなくなっていた


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