第7話 転生者
長老は目をつぶりながら静かに話始めた
長老「主は若いから知らぬだろうが……あの時は魔物との戦いが激化していてのう、人間側に相当な被害がでておった。もちろん、死人の霊の数も相当な数が出た上、それに応じて神霊の数も増えた。すると神霊の中にも序列ができて優れた力を持つ霊が現れた、それも生前霊脈を使える力を持ったものたちの霊を中心にな。そこで今の帝国がそんな霊の力と霊脈の力を借りて転生の儀を行ったのだ。」
「その転生とは何のために行ったんだ?」
長老「簡単なことよ、死亡して霊になった勇者や英雄と呼ばれた者達を転生させて人間側の戦力を増やすのだ。その上転生した者達は神霊から能力を与えられ魔物相手に絶大な力をふるった。もともと才能をもって活躍していたもの達が能力を得て戦っていたのだから戦況は一気に覆り、一年で魔物の大半を消し、二年目で魔族までも地上から消し去った。そして三年目で魔王と呼ばれる魔族や魔物の長まで倒してしまった。」
「転生者っていうのはそんなに強いのか?」
長老「うむ、それもあるが何より急激な技術の向上も原因と言える。」
「技術?武器や防具のことか?」
長老「そうだ、なにも戦闘に長けたものばかりを転生させたのではない。一流の職人や植物学者、医療従事者なども能力を得て転生したのだ。年単位でかかった食料生産はその10倍以上の速度になり、武器には特殊な力を込めたものが作られ、重傷者は症状によっては翌日から戦えるようになった。」
(……ふーむむ?要するに魔王を倒すために転生者を使ったわけだよな。ならなぜまだ転生の儀をやっているんだ?)
「なあ、『木咲の山』では転生は無理だと言っていたが何故なんだ?」
長老「言ったはずじゃ、そもそも転生には霊脈の力と神霊の力がいると。あの山にはそもそも霊脈が流れておらん。それに戦争が終結したとともに神霊の大半が現世を離れたはずなのだ」
「だがあんた、まるで今でも転生の儀が行われているというようなことを言っていたが……?」
長老「うむ、帝国ではいまだに転生の儀を行っているらしい……やり方はわからんがな」
(……まあ、俺の転生は帝国とは関係なさそうだな。結局俺は何なんだ?)
「そうなのか…転生者とはそういうものなのか……いろいろ聞かせてくれてありがとう。聞いた通り、悪いが俺から答えられることはあまりなさそうだ。」
長老「そのようじゃな、結局ほとんどが謎のままだしのう……」
「じゃあそろそろいって良いか?」
長老「待たれよ、まだ名前を聞いておらんが」
(名前か……たしかレイトだったな)
「俺の名前はレイトだ」
長老「レイトかではレイトよ、主は仮にも転生者これからどこに行くつもりかね?」
「決めてはないな」
長老「なら今日はここに泊まりなさい、その間に誤解は解いておこう。それに儂なら今後のことに助言をすることもできるぞ」
(うーん、確かに地図や道具も調達したいしなここは乗っておくか)
「分かりました、お言葉に甘えさせていただきます。」
その後俺は言われた宿で一晩過ごし、翌朝長老のところに向かう準備をしていた。すると
コンコン
扉をたたく音がした
「はい?」
そう答えて扉を開けるとそこにはナオキと呼ばれていた青年が立っていた。
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