湊村編

第5話 湊村

自分が死ななかったことに安堵していると


???「うわ!なんだ!?」


(男の声だ、上からかのようだな)


???「おいお前!人んちの井戸で何やってやがる!!」


(どうやら井戸の持ち主のようだな、まさかこうも早く見つかるとは……やれやれ事情を説明しないといけないな)


???「てめぇ!!無視してんじゃねえぞ!このやろう!」


男は水汲み用の桶を投げつけてくる。おれはとっさに水に潜ってやり過ごす。桶は水面ではじかれぷかぷか浮いた。それにしても男は凄い怒っているようだ


「おいちょっと待て!今から出るから本当に待ってくれ」


???「うるせえ!今人を呼んでんだ!お前の素性がはっきりするまでここにいてもらうぞ!!」


(人を呼ばれるのはまずいな……事情を話したところで信じられないといわれて勝手に裁判されてしまうに違いない。)


「仕方ない」


俺は桶を手に持つ。


(これは木製か、周りは岩だしこれしか使えなさそうだ……ん?)


???「おい!みょうな真似はすんなよ!叩き落してやるからな!」


(この井戸に使われている紐って植物の繊維で編んであるんじゃないか?)


俺は早速紐に力を込めて自分の体を井戸の上に引き上げ始める

同時に桶の木に力を込めて巨大化な木の盾をを作った


???「なに!?」

男はただ驚いていたが、すぐに近くの木の棒を持って何度も木の盾を殴り続ける


「ちょっと待て、話し合おう だから木の棒で殴るのやめてくれ!」

しかし男は一向に止めるつもりは無いようだ


俺は井戸の淵に足をつけ仕方なく紐を操り男を拘束する


???「な!?」


「井戸に入ったのは謝る!だから落ち着いてくれ!何をそんなに怒っているんだ?」


???「くっ……だがもう遅い」


そういう彼の後ろには村の大人たちがあつまってきていた。縛られている彼を見て全員が俺を睨んでいる。


(遅かったか……さてどうしようか……)


とりあえず道具を探すがつる上に変化した紐と桶しかない、これには俺も自分の持ち物の無さにあきれてしまった。今更だが道具は水に流されていたらしい、


村人1「おい、ナオキが捕まってるぞ!なんだあの力は?」


村人2「あいつか!?怪しいやからというのは、用心しろ霊気使いかもしれん」


村人3「ならば手配犯の可能性もある!警務を呼べ 今すぐにだ!!」


さすがに事態が悪化しているため俺も動揺を隠しきれず思わず叫んだ


「ちょっと待って!!謝罪が必要ならするし抵抗するつもりもないから話だけでも聞いてくれないか?」


村人1「ならなぜナオキを拘束している!何が目的だ!!」


「いやこの人が井戸から出さないとかいうから…!!!」


村人2「井戸だと!?ならばより一層逃がすわけにはいかん!」


村人たちはじりじりと間合いを詰めてくる


村人3「ひとまず気絶させよう、そのあと尋問すれば良い」


木製の農機具をもって男たちが構える


ナオキ「気をつけろ!!こいつは何か変な力を使う。桶を木の盾に変えやがった!」


それを聞くと村人達は顎を引き、武器を構え警戒態勢に入った


(くそ!話をするどころじゃねー!!捕まったところで素直に話を聞いてくれるわけではなさそうだし……)


俺は紐に力を入れなおし鞭のように変化させ、木の盾を構えた。それを合図に村人と俺の緊張感が一気に高まる。


???「待てい!!」


野太い声が後ろから響く そこには大柄な白髭の老人が立っていた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る