#2

図書館司書の人とラベルを貼る作業を終え、明彦は図書館を出た。

『彼女と同じ高校に行くってさ、なんか素敵じゃない?』そう言った図書館司書の人の言葉が胸にこだましていた。

そんなの僕に縁はないし、夢のまた夢のような話だ。

そう思いながら、階段を上がり昇降口に向かった。

この学校は立体的な構造になっており、一階と二階それぞれに出口があるが一階の出口から向かうと遠回りになってしまう。

二階の来た道を戻っていると遠くから視線を感じた。

教室から面談の声がこだまする中、一人の少女がこちらをじっと見つめていた。その少女はヒマワリとセミの声に包まれ、まるで夏を人間にしたようだった。

少し見とれていると、その少女はこちらへと近づいてきた。

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firework 三石 警太 @3214keita

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