10限目 我が逃走①
愛染の襲撃が受ける10分前、篠宮と清水は脱走ルートを確保していた。万が一敵が展望台の奪取に気付かれた場合のプランとして、最上階に登る途中爆弾をセットし、逃げる算段だった。もし展望台を奪取出来ればこの後の平尾校の攻略の大きな足掛かりとなり、もし奪取が不可能な場合は重要拠点を破壊できるという最悪のシナリオも計算に入れた作戦だった。
「さて足も確保出来たわね♪」
篠宮は映画のワンシーンのような車の配線を上手く繋いでエンジンを動かした。
「姐さん、お見事です!」
そう清水は感心していた。
「こんなの朝飯前よ♪」
2人はヤンに頼まれた逃走用の車(軽トラック)を展望台の近くに停め見張りをした。
「もしこの作戦が上手くいったら賞とかもらえるんじゃない♪」
「まだ作戦の途中なので、そんな大それたこと言えませんが表彰されてもおかしくない実績です。あくまで成功すればの話ですが。」
「釘刺しすぎよ♪何事もポジティブに考えなくちゃ♪」
篠宮は完全に浮かれていた。
「いえ、戦場であまり未来のことを語ると死亡フラグというものがありまして、全力で回避させてもらいます。」
「馬鹿ね♪そんな科学的根拠のない事象はし・ん・じ・ま・せ」
最後言い切ろうとした時、清水はとっさに篠宮を庇った。
「おやおや、君でも外すことがあるんですね。」
そこにいたのは愛染、剣道部主将、天才演劇部の3人がいた。
「あなたたち、どうしてこんなところにいるのかしら♪」
「ああ、先ほど平尾校の部隊がまたトンネルで穴を開けましてね。逆に利用したんですよ。」
「馬鹿なの?私が聞いてるのはここに来るまでの“手段”じゃなくて“目的”よ♪」
そう篠宮が尋ねると剣道部主将が一歩前に出た。
「馬鹿は貴様の方だ愚か者!俺たちが展望台の制圧しようとしているのに邪魔しやがって」
「はあ、脳筋クソゴリラに言われたくないわ!私たちも目的は展望台の制圧よ!ここは味方同士争う必要はないわ!」
そう言うと愛染は剣道部、演劇部の肩を叩き言った。
「お前たち騙されるなよ。前回俺を騙し殺されかけたからな。」
「分かってますよ愛染さん」
「お前たちあの2人を倒して首を持って帰って来なさい。」
「「了解。」」
2人は急いで展望台の昇降口に戻ろうとした瞬間、剣道部主将ざ一気に間合いを詰め2人まとめてぶった斬ろうとしたが、またしても間一髪清水が篠宮を庇いつつ避した。しかしそれを読んだように演劇部のスナイパーが清水を狙っていたが篠宮が煙玉を使って姿を眩ませた。
愛染は2人を呼び寄せた。前回の粉塵爆発を警戒したが、篠宮はそれをしなかった。もしやってしまうと近くにいる平尾校の生徒に自分たちの存在がバレてしまうためである。しかしそれは逆に身を隠す時間を確保したことに繋がった。清水は篠宮のところに駆け寄り相談した。
「姐さん、ここは二手に分かれましょう!あの2人結構連携取って攻撃するから厄介です。」
「そうね!さっきから私あなたのお荷物になってるみたいだし、各々敵を撃破する方向で!」
そう言うと清水は焦ったように言った。
「了解です!」
清水はにっこり笑っていた。清水はどさくさに紛れて逃げる算段を思い付いていた。すると篠宮が清水に肩を叩いきながら言った。
「ちなみに私たちを置いて逃げたらホルマリン漬けね」
篠宮もにっこり笑っていたが目だけは殺し屋みたいだった。
2人は同時に左右に分かれ方々に散った。
その様子を見て剣道部主将は愛染に言った。
「勝手に逃げたから追う必要あります?」
愛染は答えた。
「あれは逃げたのではない距離を取ったのだ。もし我々が展望台に昇ったら、それを見て展望台に残っている味方の逃走を幇助して建物ごと我々を破壊するだろう。どのみち放っておけん。」
「しかし、1人で展望台に行かれるのはいささか無茶です。展望台の中に敵が何人いるか分かりませんよ。」
演劇部の子は愛染に心配したが笑顔で返した。
「問題ない。私を誰だと思っている。生徒会副会長様だぞ。心配いらん。」
そう言うと演劇部の子は愛染に頭を下げた。
「失礼しました。」
そして剣道部主将は演劇部の子に近づいた。
「おい、どっちに行く」
剣道部主将は演劇部に聞いた。
「どっちでもいい。」
「じゃあ、俺は可愛子ちゃんするよ」
そう言って愛染の部下も2人を追って行った。
愛染はポケットから自前の革手袋を取り出した。
「さて、ゴキブリ駆除を始めようか。」
清水は全力で鴻巣山を下っていた。
「よし、このまま逃げよう!」
長岡校の学区に入ったらログアウトしよう。あともう少しで市街地に出る瞬間、銃弾が頬をかすめた。
「逃げ足だけは一流だな」
おいおい、もう追って来たのかよ。
「追いつくの早すぎでしょ。演劇部くん!」
「今の装備事情知らないのか。」
そう言って彼はジェット噴射で宙に飛び、木の枝から別の枝へ高速移動していた。それはさながら○撃の巨人に出てくる○体機動装置のようだった。
「あと人を呼ぶ時、役職で呼ぶな。ユーザー名が見えないのか。」
「えっと、シスター……シスター???男なのに意味が分からん。」
「一回○川アンダーザブリッジを調べてこい!めっちゃいいキャラなんだぞ。」
影響されすぎ。いやいや、こんな奴に付き合ってられん。そう思いダッシュで市街地に逃げ込んだ。
清水は何も牽制ぜずそのまま一直線に市街地に逃げ込んだため完全に背中ガラ空きの状態であった。ふん、脳天ぶち抜いてやる。そう思っていたが市街地の特性上遮蔽物が多く射線が通りにくかった。
クソっ!あいつ、分かっててやりやがったな。そうこうしている間に清水は右、左とジグザグに距離を取りつつ見失わせようと走っていた。チッ小賢しいやつめ。
でもな、いくら逃げようともお前は平面でしか走れないだろう。こちとら空中でお前を捕捉して撃ち殺してやるよ。
立体起動装置を使い全体を見渡した。
「ふん、そこかクソ雑魚!!」
シスターは両手にサブマシンガンを携え突撃して来た。
「やばいやばいやばい、見つかった。」
「逃がさんぞクソ雑魚!!」
シスターは清水に上からゲリラ豪雨さながらの銃弾の雨をお見舞いした。すると清水は走りながら不気味な笑みで意味深に
「まさか、こんなところで俺の48手の暗技を披露することとは……」
そう言うと彼は方向転換した。
「全集中_ニートの呼吸
彼はそのまま民家に侵入し、窓ガラスを突き破って中に入った。
今回の大規模侵攻に伴って平尾校の7割が鴻巣山に出兵していたこともあって、幸いこの辺り一帯の住宅街の警備どころか非戦闘員の生徒もいなかった。
シスターは憤っていた。あいつ、、、ただでさえ射線が通らない市街地なのに、さらに民家に入って立て篭もるなどあの卑怯者が。。。
シスターは
「この民家ごとお前を木っ端微塵にしてやる!!」
そう言い清水が侵入した民家が2階建てだったが、シスターが2階スペース丸ごと吹き飛ばした。
「うおおおおおおお。めちゃくちゃしやがる。」
清水は慌てて隣の民家にまた侵入した。
「逃げさん。」
シスターは
「ちょこまかと。」
シスターは弾を込めようとしたところ、もう既に使い果たしてしまった。
持ち合わせの銃が家を破壊できるものではないため家の中では接近戦を仕掛けるしかなかった。
接近戦は得意ではないがこれ以上外から攻撃しても弾の無駄遣いか。まあ、あいつ程度なら問題ない……。そう思い、シスターも民家に侵入した。
物音一つもしない、ふんどこかで隙を狙って待ち伏せているのだろう。
「おい、てめー今までどこに隠れやがった。」
苦しそうにシスターは言った。
「さっきお前が侵入したリビングの窓ガラスの真横にあるカーテンの裏に隠れていたよ。灯台下暗しだったな。」
清水はしたり顔で言い、どんどん体を締め上げた。
「これで終わりだ」
そう清水が叫んだあと、シスターは余裕の笑みをこぼし言った。
「最後まで逃げてればいいものを自分なら勝てると勘違いしたか?」
そう言ってシスターは清水に金的を食らわせ、手が緩んだ瞬間、頭突きをお見舞いし、最後清水のどてっ腹に回し蹴りが炸裂した。清水はすぐ体勢を立て直し、逃げようと瞬間、シスターのマグナムが胸部と太ももに直撃した。
〜戦学時代〜社会的弱者な自分が現実世界なVRで天下統一はじめました。 0248 @0248
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