第28話 本好き

 俺は魔法の実力テストをした。

 実力が上すぎて実力テストを満点を取った天才、と言われるようになってしまった。

 実力テストが終わって俺は教室に向かっていた。


 あーー、どうしよう……

 このままだと本当にあのテンセイシャがつぶしに来るだろうな。

 そうなってしまうとここにいるみんなが危険になってしまう。

 うーん、そうだ!この世界にあるか知らないけど学力テストみたいなものがあれば、そのテストで点数を低くとってちょっとは天才という言葉を取り消すことはできるはず。

 でも本当にあるのか?そんな簡単に言っているけどあるわけ……


 そのときに放送が流れた。


「わーたーしです、がーくりょーくてーすとがーあーるのでー、きょーしつにーはやくーもーどって

 くーださーい」


 え!?ゲームのストーリー中に出てくるような展開!!

 いや、本当にこんなことはあるもんなんだ……

 こういう機会ができたんだ!有効に使わないと。


 俺は走ってすぐに教室に戻った。


 教室に戻ると中には1人だけまじめに勉強をしていた。

 そいつをよくみると眼鏡をかけた少年、近づいて話してみようとしたとき、魔法を俺に向けて打ってきた。


「うわ!!あぶねー、どうしたんだよいきなり……」


 なぜかそいつは怒っていた。


 何で怒ってるんだ?

 俺、そんなに嫌われてたっけ?

 そうだったら俺のトラウマがよみがえってくるぞ!?

 まあ、少し離れて聞いてみるか……


「お前の名前は?」


 そう聞くと、魔法でバリアを張った。

 すると言ってきた。


「僕の名前はヨクです……あまり近づかないでください」


 ヨク?よくみるとかっこいい!

 身長は失礼だけど、中学2年の平均の身長くらいかな。

 茶髪とかなんだよー、かっこいい!あとは性格さえ直してくれれば……

 俺はやっぱり嫌われているのか?


「えーっと勉強かな?」


「見たらわかりますよね、えっとアキさん、あなたも勉強をしたらどうですか?」


 あ、あははは……名前は知ってるんだねー。

 こいつ俺は嫌いなタイプだな……

 見たらわかりますよねとか言われたときに、ちょっとキレそうだった。

 いやー、こういうやつはゲームだと一旦味方になるけど結局敵になるパターンのやつ…

 まあ、勉強をしているふりでもしておけばいいかな。


 俺は自分の席に座って勉強をしているふりを始めた。


 ひまになるな……

 しているふりをしているから別に何もしてないんだよな。

 図書室とかここにないのかな。

 …しょうがないからあいつに聞くか。


「ヨク?まだ実力テストをしているらしいから図書室でも行こうと思うんだけど、

 どこか案内してくれないか?」


 そういうとヨクは目を光らせて言った。


「行きましょう、行きましょう!!図書室にはすごく本があるんですよ!!それで冊数は……」


 ものすごく図書室のことを語られた。


 あれ?こいつ、本が好きなのか?

 そういうことか、こいつも陰キャか?いや、まだ分からない。

 こういうものはよく見てから判断しないと……


 そしてヨクの語りが終わって案内された。

 その道の途中、訓練場を通った。そこには全然魔法を打てていない人ばかり。

 可哀そうと思い俺は人型の看板をすべて壊してあげておいた。

 すると図書室が見えた。俺はその図書館に入っていった。

 中に入って周りを見ると、壁や本棚に本がぎっしり詰まっている。

 ヨクは冊数は30万冊はあるらしいと教えてくれた。


 すげー!この世界にこんなに本があるのか!?

 これを全部読んだやつ英雄だろ……

 でもヨクは、もう23万冊は読んだらしい。こいつ化け物だな……


 ヨクは俺におすすめの本をを選んでくれた。

 その冊数は13万冊も……

 俺が、この中から1つ選べと言われた。


「えー、それじゃあ、これで」


 そう言って俺はこの世界の歴史の本を手に取った。


 俺が転生してから攻略ばっかしていてここの世界の歴史とか全然知らないからな。

 あと、テンセイシャの情報がここにあるかもしれないし。

 それに他の本に比べて多少薄いからな……

 あんまり本を読んだことがないから厚い本は読むのは抵抗がある。


 俺はその歴史の本を読もうとしたときヨクが本を取り上げた。


「僕のおすすめの中にあったけど、なんでこんなものを選ぶの?これにしてよ!」


 そう言われてヨクにすごい分厚い本を持たされた。

 分厚い本を見てみると、わけのわからない字が。


 は?何この本、他の本は…あれ?

 全部わけのわからない字が書いてある!!

 俺は今まで聞こえていた声って日本語じゃないの?

 いや、そもそもこの世界に日本がないのか……

 それじゃあなんで?


 するとミユが、言ってきた。


<私が翻訳して聞かせていました、字もあとで変えておきます>


 えー!翻訳してたの!?なのに声はそのままでとか、お前チート能力豊富か?

 でも助かる。1から文字や言葉を覚えなくて済むし……


 俺はもう1度本の字を見てみた。

 するとそこには、「辞書」と書いてあった。


 すげー!!さっきまでの意味わからない字が分かるようになったんだけど!!

 まあ、これでこの世界の字も日本語に見えるようになったから本も読めるな。

 さっそく読んでみるか。


 辞書を読んでいった。

 読んでいる間もヨクが、「ここがおすすめ!」、「このところはすごいんだよ!」

 と横でうるさく解説をしていた。


 こいつ、本が好きと言ってもさすがにおかしいだろ!?

 本のことになったら俺を避けることもやめて語ってくるし……

 俺を避けることをやめてくれるからいいとするか……


 そのとき、放送が流れた。


「よーくーくんとーあーきさん、はーやくきょーうしつにもーどってくーださい!」


 あ!!忘れてた!!

 学力テストがあるんだった!急いで戻らないと。


 俺は走って帰ろうとすると、ヨクがこっちにこいと手を招いてきた。

 俺がヨクのところに行くと、魔法を使い始めた。


「マジック、ワープドア」


 すると目の前にドアが出てきて、開けると教室につながっていた。


 ワープって、ワープホールだけじゃないんだな!!

 急いで走るよりかは絶対に速いからな!


 そして俺とヨクはワープを使って、教室に戻った。

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