第17話 裏技

 3層ボスダンジョン内


 俺たちは、順調に攻略を進めていて、今、1ステージ目のボスと戦っていた。


「スキル、火炎斬り!アキ、よろしく!」


「マジックコマンド、ライグーン!最後はショ……」


 ショウに任そうとしたときにはボスは倒れていた。


「終わったぞ!」


 やっぱりおかしいな……

 あいつはどうしてあんなに速くできるんだよ。

 それよりも次のステージに!


 俺たちは、次々ステージをクリアしていた。

 3層目のボスの部屋まで少しの時間で終わってしまった。



 3層目のボス部屋


 よし、今回はどんなボスかな?


 そして前を見ると、何もいなかった。


「あれ?どこにもいない?まさかじゃないが……上?」


 俺が上を向いてみると、そこには、トラが空に飛んでいた。


「なんで飛んでるんだ?」


 するとユリが。


「あれは浮遊魔法です、魔法で自分を浮かせてるんですよ!そしてあのモンスターはべネルです!」


 なんでそんなことが分かるんだ?モンスターの名前はいいとして魔法は……

 ユリはどこか目印みたいなものを見ていているのか?


「ユリ、何を見たら魔法がわかるんだ?」


「そ、それは……」


 ん?なんで急に無言になるんだ?

 もしかして、ユリは何かを隠しているのか?


 その時べネルが降りて攻撃を仕掛けてきた。


「今はあいつを倒すことに集中しよう!マジックコマンド、ポイズンブレス!」


「ショウ、私と一緒にスキルを!」


「やったー!行くぞ!スキル、ダブルスラッシュ!」


 べネルに効いたのはレナとショウのダブルスラッシュだけ。

 体力を見ると12万ほどだった。


 べネルは毒耐性があるのか…厄介な相手だな……

 こいつの属性は何だ?魔法を撃ってもらうか。


「べネルさーん!こっちでーすよー!」


 俺が挑発すると思った通り魔法を撃ってきた。

 その魔法が何なのかを見極めつつ回避する。


 お?魔法は、雷と風?属性が2つあることなんてあるのか?

 ゲームだったら、属性が2つあると効く攻撃が無属性の攻撃……か。

 でも、相手と同じ属性ならいけるかもしれない。


 そのときに、ユリが前に出て行った。


「何やってるんだ!ユリは後ろに!」


 そう言ったときに


「マジック!ライトフール!」


 ユリは雷と風が合わさった魔法を打った。


 俺とレナとショウは何も言えなかった。

 ユリはヒーラーのはず、なのに回復魔法以外も使っていた……

 そのことが理解できなかったからだ……


 ユリはべネルを一発の魔法だけで倒してしまった。

 するとユリは。


「隠していてすみません、私はヒーラーですが、他の魔法も撃てる普通の魔法使いです」


 なんだって?

 そんなことがあるのか!?……いや、あるな。

 回復もチートクラス、それに攻撃魔法もチートクラス、ということは……


「魔法がチート能力ってことか?ユリ!」


「チートが分からないですが、そうです」


 あ、この世界でチートっていう言葉は知らないのか……


「なんで隠す必要があったんだ?」


「いや、もしもこのことを知って怖がって逃げられたらと思うと…嫌で……」


「ユリは馬鹿か?」


「え?」


 確かに少しビックリした、けれどもうチート能力なんて今見たところで?……みたいな感じなんだが。


「別にここのパーティーには、速すぎる鍛冶人と気持ち悪いスタミナの剣士さんがいるから怖がることなんてないぞ?」


「そ、それなら、もっと早く言っておけばよかったです!」


「ああ、早く言ってくれたらもっと楽だったんだが……でもなんであんな魔法が?」


「分かりません。もともとは本当にヒーラーだったんですけど、攻撃魔法を使いたいな!っと思って使ってみたらできました。それに魔法を使っていくうちに、相手の使っている魔法が分かるようになっちゃったんです…」


 攻撃魔法ってものは簡単に使えるようなものなのか?

 だったら……俺も魔法をどんどん使っていくだけで相手の魔法ってわかるのか!?

 ま、まあ、そういうことなら、これからの攻略がすごく簡単になるな!

 助かるーー


「次からは普通に使ってくれよ、ユリ!」


「ありがとうございます!」


 ユリは一筋の涙を流しながらもそう言ってくれた。


「それじゃあ3層のボスをあっけなく倒したので、4層に行きますか!」


「おーーーーー!」


 俺たちは次の4層に行った。



 4層目


「みんな、今回は休まないぞ!」


 そう俺が言うと、みんなが俺に向かって好き放題に言ってきた。


「アキ、僕とレナさんを2人きりにさせる気はないの?」


 ショウは相変わらずレナの事だけ……

 逆にレナは。


「かわいい動物がいるかもしれないじゃん!だから休もう!ね!?アキ!」


 レナの目的は休むことじゃなくて動物を探すことになってる……

 さすがスタミナ化け物剣士……

 最後、ユリは。


「早く行かないといけないんじゃないですか?」


 相変わらずユリも……って!

 いやいや、別にそこに怒るところなくないか?それに休まないの?

 で、でも行こうとしてくれるのはありがたいし、いいか……

 本当にしょうがないなーーー。


「じゃあ、2時間休憩だ」


 するとユリ以外が喜んだ。


「さっすがアキ!僕はうれしい!」


 なんだ?僕はうれしい!って言われなくてもわかるんだが……


 俺は、レナを見るともう、かわいい動物探しに行っていた。


 あいつ……マジで行ったぞ……まあ、俺に言えることはないからな……


「アキさん!いいんですか?私は早くしてほしいんですが」


 ユリは真面目なんだろうな、いや?俺に言っていることほとんど否定してなかったような……でも、休んだほうがいいと今は思ってるんだよな……


「まあまあ、俺についてきて、頑張ってくれた仲間だからな」


「私の意見は…」


「そ、それは別として…」


 まあ2時間は休憩がある、どうしようか、……そうだ、俺の特殊技でもつくるか!

 いや、でも俺はコマンドっていう特殊技があるが、うーーーーん……魔法の特殊技でもつくるか。


「ユリ、ちょっと付き合ってくれないか?」


「え!?急に告白ですか!?」


「違うよ!?魔法の特殊技をつくろうと思って、そういう付き合ってくれって意味だ!」


「えーーーー、いいですけど…」


 何がえーーーーだ…とか言ったら怒られるなー。

 よし、じゃあ始めるか。


 俺とユリは、2時間ずっとつくっては撃つの繰り返しをしていた。


「これからダンジョンに行くんだぞ?これじゃあ俺とユリだけ疲れ切った状態で行くことになる」


「ユリは大丈夫です……大丈夫です」


 絶対大丈夫じゃないな、ユリは……

 そう思っているとレナとショウが来た。


「すごい発見をしたよ!、アキ……ってどうしたの!?そんなに疲れ切った顔をして!」


「ああ、ちょっとな…それで、どうしたんだ?すごい発見って?」


「マグマスラッシュっていうスキルを使ったら、ステージを1つにできるらしいんだ!

 誰か持ってない?」


 ステージを1つにするってよりかは、4つのステージを溶かすって感じじゃないのか?

 まあ、都合よく俺が持ってるな。


「俺が持ってるけど」


「え!?やったー!少しは楽に攻略できるよ!」


 そうだな…俺は勇者だし、この世界を救う義務的なものがあるからな……早くしておいたほうがよさそうだし、ゲームとして楽しんでいきたいし……


「それじゃあ行くか、場所はわかるか?」


「私はわかんない…」


「僕も…」


「アキさんの力になれなくて、すみません」


<私はわかるようにできます>


「そうか…じゃあ、って待て待て!」


 何でお前が?

 何で知ってるんだよ、


<システムコマンドに【位置把握】を追加しました>


 おーーー!すごく便利だな!


「どうした、アキ?」


「俺、位置知ってるから行くぞ」


「頼もしいな、アキは…」


「行きましょう!」


「そうだね!」


 頼もしいなんて言われると照れるな……

 よし!じゃあ……


「行くぞ!」


 そうして俺たちは次の4層目のボスダンジョンへと向かった。

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