第16話 3層ボスダンジョンへ

 俺は少し考えた。

 だが、確かにここに来た攻略組を倒してしまったことは事実。

 けれどこのことがいろんなところでばれて、テンセイシャにも情報が入ってしまったら、どんなモンスターを召喚することか……想像もしたくない。


「俺はテンセイシャではありません。もう聞きたいことは聞いたので…」


「いや!ちょっと待ってください!まだ……」


 俺はすぐに店から出た。


 もうあんなやつとは関わらない、何かがありそうで怖い。


 少し俺は震えていた、何かが怖かった。

 するとユリが急に俺を抱きしめてきた。


「ど、どうしたんだユリ!?」


「だって震えているからですよ、何かあったんですか?」


 何かがあったかと言われたら何もない、ただただ何かが怖い、何かに俺は怯えている、そう思った。


「いや、何でもない、でもありがとな!」


「当たり前です!私はヒーラーですから!」


 そういう心も回復させたりできるのか……やっぱりチート能力だな……


「次は、攻略!レナとショウを連れてすぐ行くぞ!」


「で、でも…ボスダンジョンの場所が分かりませんよ?」


 あ、そうだった、場所がまだわかってないのか。

 困ったな……


「おーいアキ!僕の助けがいるかー?」


 奥からショウの声が聞こえた。と思っていたら、いつの間にか俺の目の前に来ていた。


「ショウ、お前は誰かが困っていたらすぐに駆け付けるヒーロー、みたいな感じだな」


「当たり前だ!僕はヒーローになってレナさんにいいところを見せるんだ!」


 ショウは何張り切っているんだ?

 それにすぐにレナの名前が出てくるな……ショウは……


「まあ、いいところに来た、ボスのダンジョン分かったか?」


「え?もう知っている、なぜか僕とレナさんだけしかいなくて、2人きりでずっといようかな?とか思ったけれど、何か役に立たないといけないと思って2秒で見つけてきたんだよ」


 2秒って、相変わらず速いな。

 こいつは鍛冶人のはずなんだが、忍者のような存在になっている、いやもう忍者ですらないな、光か?

 そんなこと、どうでもいいが、


「そのダンジョンはどこにあったんだ?」


「ここの近くに少し森があってその森のどこかにあった」


 どこかはおかしいだろ、場所くらいは覚えておいてほしかったんだが……この3層を全体見て回るよりか、全然楽だから良いか。


「分かった、それでレナは?」


「レナさんはもう準備を始めているところだった」


 レナはもう準備を始めているのか……

 やる気満々だな、そのほうが攻略が速く進むからすごくありがたい。


「ユリ、お前の準備はできてるか?」


「毎日ばっちりですよ!」


 それなら、レナの準備ができたら、ボスダンジョンに行くか……

 層はあと47層ある、絶望感しかない……でも、俺が決めたことだ、やる気を出していくか


「それじゃあ行くぞ!」


「分かりましたアキさん!」


「僕はいつでも行けますからね、」


 そう言って今回もダンジョンの攻略を始めた。



 森


 ダンジョン攻略をしよう!となり、ショウが森の中にあるといって入った。

 そこから2時間、俺たちはずっと探し回っている。


「おーい誰かダンジョン見つけたか?」


「アキさん、全然見つかりません」


「アキ、私も全然わからない…」


「僕は探して見つけたけど、みんながついてこないからな」


 ショウについていけるスピードがあれば苦労しないよ……

 ……ん?そうだよ、あいつのスピードになればいいんだ!

 でも、やっぱりあれは使いたくない、何かゲームオタクの血に抵抗力が……


「もういいや、システムコマンド、味方全員ショウのスピードに!」


 そう言うと、頭の中に文字が浮かんできた。


<あの人のスピードは光のように速く、体がなぜか消滅しない鋼鉄の体です>


 ……前から知ってるんだよなー。

 普通であれば体がもたないはず、なのにショウだけ違う……


<あなたたちもあのスピードになるということはあなたたちの体が消滅することになります、それでも>


「やりたくないです!」


<分かりました、では消滅しない程度にスピードを上げます>


 やっぱ助かるよな、こいつ……

 呼んだりしても来ないが役に立つ、誰か知らないが……


「アキさん、急に足が軽く!」


「おう!俺が特別な力でスピードを上げた!ちょっとは効率よくなるぞ!」


「はい!」


 これならすぐ見つかりそうだ。

 次のダンジョンはどんな強さだろうか…弱いと飽きてくるからな。



 3層ボスダンジョン前


「やっと見つけた!疲れたーーー俺はもう動けない」


 システムコマンドは、制限時間があるから急がないと、って思って探していたら予想以上に疲れた……

 レナとショウは別だ、あいつらは疲れてない。

 ショウはもうダンジョンについていたしレナはスタミナがぶっ壊れている。


「お疲れだねーユリとアキは」


「レナはスタミナがおかしすぎるんだよ!」


「そんなことないよ!普通だよ!」


 俺たちは15キロはずっと走っていたからな!?

 あれで疲れないものを普通って言えるわけがないだろ!


「ダンジョンに入る前に扉なんてあった?アキ」


「いや、なかった」


「私なら開けると信じて!」


 レナは扉を一生懸命押していた。

 けれど、扉は開かなかった。


「アキ!開かないよ!?」


「レナさん、僕が!」


 ショウは扉を斬ろうとした、けれど、斬れなかった。

 そのうえ、ショウははじかれてしまった。


「うわ!は、はじき返された!」


「あの、扉を引いたら開いたぞ?」


 みんな驚愕した顔で俺を見た。

 まあそれもそうか、みんなが苦労している中で俺が扉を引いたら開いたんだからな……


「よ、よーし!行くぞー攻略しに!」


「お、おーーーー……」


 みんな元気がなかった……

 しょんぼりしながら俺たちはダンジョンの中に入っていった。

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