第275話バレンタイン企画チョコ作り対決6
その後、クッキーの焼き上がりやチョコの冷やしが完成するまでしばらくの間休憩が入った。
休憩が終われば、それぞれが仕上げを行う。
そしていざ迎えた実食の時、盛り付けられた完成品が晴先輩の前に並ベられた。
「えーっと、右から順に、
『ダガーちゃんが半泣きで炒めたギリ(ギリ)チョコ』
『ストロングチョコ』
『生チョコ』
『宇宙にスラムダンクされた猫による復讐キャットフードチョコ』
『クマを片手間に撲殺しながら作った動物チョコクッキー』
が並んでいるわけだけど、これチョコでライブオンを表現しなさいって勝負じゃないよ?」
「頑張って炒めた!」
「この中だと生チョコが浮きすぎて逆に得体が知れなく見えるの嫌ですね……」
「安〇先生……クソ映画が欲しいです……」
「帰ったら速攻配信開いて意地でも誤解を解くのですよ~」
「あわっち! シュワッチからのコメントも頼む!」
「聴いてください、私がストゼロになっても」
「それシュワッチに見せかけたあわっちの嘆きの歌じゃ……?」
なぜか例のカクテルも組み込まれてしまった。なしって言ったのに……。
コメント
:どっかのカルト宗教がやる儀式用の供物ですか?
:カカオ豆が一番欲しいがまじである
:完成品の写真を見た限りでは見た目でもう無理ってやつはなかったかな
:生チョコとクッキーはうまそうだったから本命かな?
:ネコマーのやつも見た目案外悪くなかったぞ
<山谷還>:私がおばさんになっても、甘やかしてくれる?♪
:お前は元からおばさんやないかい
<山谷還>:おい運営! 今すぐおばさん言ったゴミカス野郎をブロックしろ!
:これは草
<ライブオン公式>:本人から要望があったので山谷還をブロックしました
:そっちじゃなーーーい!wwww
:これは大草原
:運営からブロックされている所属ライバーは草
<ライブオン公式>:誤解があったようなのでブロックを解除しました
:さては運営楽しんでんな?
:すんまそすんまそ
<山谷還>:↑なんで当たり前のようにお前は無事なんですか……
:今度スパチャするから許して
<山谷還>:還おもしろい人大好きー! これからもよろしくね☆
:この子ほんとブレないな……
:内心まさかのライバーとの絡みに心臓バクバクである
「それじゃあ品評していこうか! いただきます! さっき紹介した順に食べていくね、まずはナイフちゃんのから――」
晴先輩はそう言ってカカオ豆を口に入れた。傍に居るダガーちゃんがごくりと息を呑んだのが分かる。
「(ポリポリ)」
数回の咀嚼。
「ごめんストゼロ飲む! ゴクッゴクッゴクップハアアアアアァァァ!!」
そしてそれを私のストゼロとチョコのカクテルで思いっきり流し込んだ。
「次行こうか!」
「あー? あれ、俺のチョコの評価は?」
「ダガーちゃん、今の一連の動作が評価の全てですよ」
「ガーン……」
「信じられないくらい苦かった……サンキュあわっち、ストゼロのおかげで助かったよ」
「仮にも私が作ったチョコを無理やり流し込むことに使わないでくださいよ」
「シュワッチのカクテルはね、甘さ控えめのストゼロに甘いチョコを足したせいか味の方向性が迷子になってる!」
「聞いてないです」
気を取り直して、晴先輩が次に食べたのは私作の生チョコ。
少なくともカカオ豆と違って、もぐもぐとじっくり咀嚼している。
「どうですかね……?」
「美味しい!」
「本当ですか! よかった……」
「市販品にはないほどよい手作り感がいいね!」
「えっへん!」
「むぅ……俺のだって生チョコみたいなもんじゃね?」
「生の意味が違い過ぎるんですよ」
「分かるよあわっち、アイドルの草○さんと公園で全裸になった草○さんくらい違うって言いたいんだよね!」
「それは多分同一人物です」
「俺その事件めっちゃ好き!」
「なぜ事件から好感度が上がったのか……」
「あわっちと同じじゃん」
「…………あれ、おかしいな? 言い返そうと思って考えれば考えるほど似てる、いやむしろ元は人気がなかった分私の方が悪い……?」
「それでいいのさあわっち。やっぱり人は人間味があるくらいの方が好まれるんだよ」
こんな状況でそれっぽいこと言わないで欲しい、反応に困るから……。
まぁとりあえずチョコは失敗してなかったようで好感触のようだ。これは勝ちあるのでは?
期待を残してくれた晴先輩は次に行こうとして……そして固まった。
コメント
<相馬有素>:私も淡雪殿の生チ〇コ食べたいのであります
:おいーー!!!!
:まさか聖様より酷い伏字芸が出るとは思わなかった
:それ〇の中にどっちが入っても本心じゃない?
:なに? 今ライブオンで空前のチ〇コブームでも来てるの?
:考えられる限り最悪のブームで草
:次はいよいよネコマーか
:一番味が想像できないの来たな
カカオ豆ですらすんなり口に入れた晴先輩が躊躇している、やはり食べたくない思いがあるのだろう。
それでも審査員としての意地があるのか、意を決してチョコでコーティングされたキャットフードを口に入れた――
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