第235話五期生5

 その後も質問返答は続き、その内容は表面上のものからより深いところの質問に寄ってきた。


コメント

:実際勝算はあるの?

:ミイラ取りがミイラになる結末しか見えん

:ライブオンに挑むのは一種のトラップダンジョンモノだぞ

:ライブオンになんて絶対に負けないんだから!

:一コマ後が見える不思議


『ふっふっふ、この宮内をなめるなよ? 学園の生徒会長を務める中で、既に様々な功績を残しているのだよ。このライブオンもあっという間に汚れ一つなくなるだろう! 例えばだ、私は保健の授業があった時、担当の女性の先生に事前にこう伝えたのだ。先生? 保健の授業でエッチなこととかだめですよ! 先生が自分の体を教材にしたりとか、生徒同士で実技させるとかだめですからね! もしやろうものなら宮内が生徒会長として止めますからね! とな! 本当に恥ずかしかったが、こうやって事前に防止することで学園の風紀を守ることができたのである!』


コメント

:草、もうだめだ

:そんな展開エロ漫画でしかみたことねぇよ!

:思考が思春期過ぎる

:どこでそんな知識覚えたの……

:先生大困惑案件なんだよなぁ、なんて反応してた?


『ふっふっふ、事前に手を打たれたやられたと思ったのだろうな、数秒固まった後、諦めたような笑顔で頭を撫でてきたのである。宮内の勝ちだ!』


コメント

:もう微笑ましく思われてんじゃん

:これ実は生徒からも似たような扱いだろ

:恥かいただけなんだよなぁ


「ライブオンは大丈夫そうでありますな」

「ですね」

「今度顔真っ赤で先生にお願いしてるシチュの匡ちゃん描こ」


コメント

:隠されていた方がいいってのがまだピンとこないから、もう少し例がほしい


『ふむ、承知した。そうだな……例えば菓子のぷ〇ちょあるだろう? あっ、ハ〇チュウみたいなやつじゃなくて縦長のプラスチック容器にグミ部分だけが入っているやつな。アダルトグッズを持っているチャラい女より、清楚な女がその容器を持ちながら中身を食べている方がよっぽどエロいとは思わないか?」


コメント

:!?!?

:はい?

:思ったより上級者ですね……

:だから妄想力が思春期男子なんよ

:人生楽しそう

:なんでそれがエロいと思うんですか?


『なんでってそれは……ギュフフ、フヒ、それはぁ、あれだよ……そのぉ、分かるだろう?』


コメント

:wwwwww

:キモ過ぎワロタ

:段々やばい面が表に出てきたな

:なんかニチャニチャし始めたぞ……

:頭大丈夫?


「?? あわちゃんならこれ分かるよね?」

「淡雪殿、私にも教えて欲しいのであります」

「なんで2人共私が理解できてる前提なんですか?」


『む、今のでは理解できなかったか……承知した、ではもう少し分かりやすく再び例を菓子に出そう。二つのハイチ〇ウがあるとする。片方はイチゴ味、もう片方は味が伏せられていて、どちらかを食べていいと言われたらだ。余程イチゴ好きでもない限り、恐らく多くの人は興味に惹かれ伏せられている方を選ぶだろうし、イチゴを選んだ人もなんだかんだもう片方の味が気になるはずだ。そして最も大事なのは口に運ぶまでの時間である。最初から味が分かっているのと分かっていないのとでは、この時間に揺れ動く感情が大違いだ。一体どんな味が口の中に広がるのだろう? 果物系? ジュース系? もしかするとゲテモノ系でまずいかもしれないなど色んな事を考えるはずだ。そしてその時間はイチゴ味を食べる時よりよっぽどドキドキし、そして楽しい時間である。宮内が言いたいのは要はこれと似たようなものなのだよ』

 

コメント

:なるほど……なんとなく分かるかも

:急に真面目になるな

:いや、真面目な顔して性癖語ってるだけだからこの人

:ごめんなさい、まだよく分かりません


『ああもう! プロって言われるより素人って言われた方がなんか興奮するだろう! そういうことだよ!』


コメント

:OK 完全に理解した

:それでいいのか……

:やっぱ話は簡潔な方が伝わるね

:それは隠されフェチ以外の要素も絡んでるだろwww


「あわちゃん、僕経験ないからテクニックとか全然かもだけど、それでもいい?」

「な、ななななななに言って!? いやいい! いいけどましろんがそんなそそそそんなこと言ったらダメというかでもいいというか!」

「ふふっ、冗談だよ」

「淡雪殿! 私はマグロであります!」

「それはどうなんですかね……てか絶対嘘でしょ」

「マグロって自覚あるんなら動きなよ」

「ぅぅぅ……誘惑失敗したのであります……ピチピチ」


コメント

:じゃあどこまでがセーフなの? 

:ラインは確かに知りたい


『ラインか……一般的な世の中の倫理感に沿ってくれれば大きな問題はないと思うが……』


コメント

:じゃあコップは?

:コップ……?

:え、なんでコップ?


『コップはセーフなんじゃないか? ……いや待て、思考を止めるな、コップ、間接、唾液、液体、溜める……な、なんということだ!? コップはアダルトグッズではないか!?』


「「「は?」」」


 本日二回目のシンクロ、驚異のシンクロ率だ。


『なんということだ、規制しなければ! だがコップなしでどうやって水分を補給する? ……いや違うな、要は性的な部分を利用しないでコップを使えばいいのだ、よし! これから水分は鼻から摂取しよう!』


「「「は?」」」


 人類は一つになれる。


『言い出した以上宮内がお手本にならねばな、試しにやってみるのである。……ズズヴォオオエエエェ!! ゴホッ! ズビィ! ゴフアアァッ!!』


コメント

:――――

:嘘でしょwwww

:一体何を想像したんだ……?

:ライブオン、よくこの子を入れた

:なんで初配信で鼻から水飲んでんのこの子?

:コップは適当に言っただけでまさかこんなことするとは……まじごめん

:ガチ目の謝罪やん笑


『うぅぅ……コップは多分セーフである……あっ、もう終わりの時間! それではな、宮内はアンチライブオンとして活動していく。敵を打ち倒すため、同志が増えることを祈っているぞ。そしてライブオンのライバー共! 首を洗って待っているがいい! ふはははゴホォッ!』


 明らかに涙声で終わりを告げ、最後は咳き込みと共に終わった匡ちゃんのデビュー配信。

 それを見届けた私たちは配信終了後、ライブオンは新人を新しい人類のことと勘違いしたのではないか説を議論し始めたのだった。

 これからもライブオンは賑やかそうだ……。 

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