第169話ライブオンオールスターコラボ・監禁人狼2

「ええと、私はどっちかなー」


まずはゲーム開始時に11人のプレイヤーの中からランダムに2人の人狼が選ばれる。ここではっきりと逃げる側、襲う側と立場が分かれるわけだ。

私は――プレイヤー側だ。人狼から逃げながら施設の脱出、または人狼役を特定して倒す通称『吊る』ことによる人狼全滅を目指す。

一旦ここから会話はミュートだ、みんなとの会話は後の議論パートまでお預けとなる。


「よっしゃー! 令和の名探偵江戸イル川シャーロック乱歩ームズ0世コナンと言われている私の推理力を見せてやるぜ!」


さて、操作可能状態になり、いよいよ本格的に死と隣り合わせのゲームが始まる。

まずはシオン先輩の説明にもあった通り各部屋のミニゲームをクリアして脱出ゲージを溜めていくわけだが、どこから行こうか――

このゲーム、かなり大まかにだがマップが


1 ― 2 ― 3

|   |   |

4 ― 5 ― 6

|   |   |

7 ― 8 ― 9


と正方形になっている。番号が部屋、線が通路になっていて、各部屋や通路の形を変えることでバリエーションを出している感じだ。更に番号が振られていない小部屋も各地に点在している。

また、番号が振られている大きめの部屋は『セクター』とも呼ばれ、ゲーム開始時は全員中央のセクター5からスタートとなる。脱出ゲージを溜めるためのミニゲームは5以外のセクターにあるため、強制的にそこへ歩かされることになる。

初心者なりに感じたこのゲームの立ち回りだが、基本的に孤立すればするほど人狼に狙われる可能性が高くなる。人狼はプレイヤーを即死させることができるが、連続で出来るわけではなく30秒のクールタイムが必要になるため、集団でいるところで殺害なんてしたら即人狼バレしてしまう。

そのため何人かで固まって行動する方が安心なのだが、人数が多すぎるとそれはそれで画面がごちゃごちゃになり誰が殺したのか分からなくなるなどの様々な問題点が出てくるので、程々が大事なのだ。

皆が即席のチームを組みながら散らばっていく。私は……そうだな、光ちゃんが向かっているセクター1方面に行こうかな。おっ、有素ちゃんが後ろを付いてきて3人ペアになった。


コメント

:え、なんて?

:色々ごちゃ混ぜになっていたような

:令和のもなにもこんなカオスな名前の人物はどの時代にもいない

:シュワちゃん、初代は1世って名乗るんやで

:継ぎたい人がいないからそもそも付けなくてよさそう

:〇世の後に名前付け足す人初めて見たわw

:なんでも組み合わせればいいって思ってるの絶妙にバカっぽくて草

:そもそも酒飲んで参加してる時点でお察しなのでは……?

:自己紹介かと思ったら事故紹介だった


「有素ちゃんはプレイヤーとか人狼とか関係なしに尻を狙ってきそうだから一瞬恐怖を感じたけど、まぁ光ちゃんもいるし大丈夫っしょ!」


無事セクター1に到着したので、みんなでミニゲームを開始する。


「確かこれはこうして、ほいほいほーいっと」


どれも数秒で終わるような簡単なものだ。操作しているキャラクターがとことこ歩くさまがかわいいのもあって現状とてもほのぼのとしているのだが――


「停電……」


突如施設の電気が落ち、視野が極端に狭くなった。これは人狼側が使うことが出来る妨害手段だ。

人狼側はゲームの運営と繋がっており、運営に要請することで様々な妨害の支援を受けることが出来る。

ラインナップは

1・今起こっている30秒間の『停電』、プレイヤーの視野が極端に狭くなるが、人狼側ははっきり見えている

2・特定のセクターのミニゲームを30秒以内にクリアしないと施設全体にプレイヤーのみに作用する毒ガスが噴射されてゲームオーバーになる『強制ミニゲーム』

3・セクター1、3、7、9に設置されている『テレポート機器』、この4つのセクター間なら瞬間移動ができる

4・セクターの『ドアの閉鎖』、これも30秒間で、主にプレイヤーの逃げ道を塞ぐ目的や移動を制限するときに使われる

この4種。各種一度使うと30秒のクールタイムが必要になり、2人の人狼で共用になっている。

人狼側はこれらを巧みに使ってチーム行動しているプレイヤーを孤立させ、バレないように殺害していくわけだ。

停電で右往左往している内に電気が復旧した、ということは恐らくそろそろ……。


「お、来ちゃったね!」


画面に不安を煽る赤色大きく表示された『緊急議論』の文字。これは死体を誰かが発見したときにその場で通報を実行できるようになるので、そのボタンが押されたことを意味する。

マップに最初から死体が設置されていることなんてない。これはつまり誰かが殺されたというわけだ。

ゲーム操作が一旦停止され、画面が議論パート専用の各参加者の名前が表示されたものに強制的に切り替わる。議論パートへの突入はこの通報と、誰かがセクター5にのみ設置されている招集ボタンを押したときのみ開始される。

さて、この画面では死んだ参加者の名前の隣に死亡と出る為、一発で分かる。第一被害者は――


【朝霧晴・死亡】


「おいいいいいいぃぃぃぃ!?!?」


驚きの声と共に慌ててミュートを解除して会話が通じるようにする、予想外の第一被害者にみんなも同様に阿鼻叫喚だ。

これより議論パート。制限時間は2分。その間に人狼と思わしき参加者を見つけ出し、『投票』をする。議論が終わった時に最も多くの票を集めてしまった参加者は素性がプレイヤーであれ人狼であれ関係なく吊られて退場となる。

また、誰が人狼かという確証がないときは投票をスキップすることも可能であり、過半数がスキップを選択した場合は誰も吊られることはない。

さぁ、人狼系ゲームの大目玉である楽しい楽しい話し合いのスタートだ。



【あとがきという名の補足】

ルール説明がメインになっている回で、後々分からなくなった時もこの回を振り返るだけで基本ルールを理解できることを重視して書いてみました。

また、レイアウトによってはマップ表示が壊れてしまっているかもしれません……とりあえず

123

456

789

の数字が振られた部屋がおよそ正方形に配置されていて、斜め以外が通路で繋がっているという点さえ分かっていただければ大丈夫かと!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る