第168話ライブオンオールスターコラボ・監禁人狼1

『オールスター』、誰しもがこの単語を聞くと少なからず心が躍るのではないだろうか?

自分の好きなもの同士がコラボするだけでも心躍るのに、それが1対1には留まらず多人数ともなれば、もう気分は高揚を超えて夢見心地だろう。

ただ、オールスターというものが望まれるのは誰しも知るところではあるが、これを本当に実現するとなれば考えれば考える程高いハードルがあることに気づかされる。

全員のスケジュールを押さえたとしても、企画の内容、円滑な進行、平等な扱い、個性の調和などなどの問題が積み重なり、そしてこれは集めるスターの人数が多くなるほど難しくなっていく。

これらをまとめるには、それ相応の『場』が求められるのだ。

現在のライブオンのライバー数はあわとシュワを合わせて1として11人、しかも全員が頭の中オールスター。

それに対応できる場なんてそう簡単に用意できるわけない……そう思っていた時期が私にもありました。

しかもそれはたった1つのPCゲームで解決した。さぁみんな、今こそ叫ぼう――

かがくのちからってすげー!


「夢のライブオン全ライバー参加のオールスターコラボ企画! 『監禁人狼』、ここに開幕ーー!!」


シオン先輩の開始の合図が終わると同時に私含めた全11人の歓声があがる。


「今回も司会進行を担当するのはみんなのママこと神成シオンです! それでは続いて一期生から順に自己紹介をよろしく!」


本当に全員居るんだと証明する意味も込めて一期生の晴先輩から二期生、三期生と自己紹介が流れていく。


「プシュ! 今回の企画でテンションが上がりすぎてストゼロオールスターを混ぜ合わせて錬成したストゼロガンギマリ味をキメているシュワちゃんだどー! ちなみにここから数日余った各種炭酸抜きストゼロを飲まないといけないことが確定しているけどそんなのかんけぇねぇ!」

「ほぉ! ちなみにお味の程は?」

「やってはいけないことをしている背徳感がありますな」

「……それは美味しいの?」

「ゼロの探究者である私としてはガンギマリ味を錬成できたことに非常に満足している所存です」

「いや、あの、もっと具体的な味の感想がほしいかなって」

「それは聞くな」

「はい」


というわけでシオン先輩のサポートを頂きながら私の順番も終わり、テンポよく四期生紹介と続いていき、最後に還ちゃんの挨拶が終わったとき、そこには紛れもなく11人が揃っていた。


コメント

:まじで全員おるやんけ

:神

:感動すると同時にえげつない不安も感じているのは人生初めてだ

:登場人物が全員範馬〇次郎のバキ

:ア〇ンジャーズかと一瞬思ったけどアカンヤーツだった

:なんかここだけ異様にヒューム値高そう

:人狼に感謝

:全員が人狼役で人狼ゲームやりだしそう

:草

:あわちゃんはいないんですか……?

:今日は淡雪降ってないね、仕方ないね

:あわちゃんなら俺の隣で寝てるよ

:二日酔いの介抱ご苦労様です

:なんでシュワちゃんはハイポーション作ってるの?

:シュワちゃん某馬みたいな犬説出てきたな

:あのお方のウ〇娘参戦待ってます

:アグネスタキオンかな?

:初の組み合わせが山ほどあってワクワクがやばい

:この感じはバンジージャンプする直前と似てる


「今回は出来るだけ長くゲームをしたいからね、早速企画の説明に入っていくよ!」


阿鼻叫喚のコメント欄を眺めるのもほどほどに、企画の説明に入るシオン先輩。

さっきも言ったけど、今回は監禁人狼というゲームを介したコラボ企画だ。

まず前提として人狼ゲームというパーティーゲームがある。参加者のうち何人かが人狼役となり人間役を襲っていき、人間役は推理で人狼役を特定してやっつけるあれだ。実際にやったことがある人も多いだろう。

今回みんなでプレイする監禁人狼はその人狼ゲームを基にしたPCゲームの一種だ。

舞台設定としては、

今回のケースだと11人のゲーム参加者である私たちは普段通りの日常を過ごしている中突然誘拐され、気が付くと無機質でSFチックな部屋が連なった施設に閉じ込められていた。

ここから脱出するためには各部屋に設置された簡単なゲームをクリアしていき、そのたびに少しづつ積みあがる脱出ゲージを満タンにするしかないとアナウンスされる。

他に手段もないため仕方なく従う『プレイヤー』たちだったが、その中にはこのゲームの運営によって生み出された『人狼』が紛れ込んでおり……

といった感じ。

基本は上から見下ろすタイプのレトロな2Dチックのゲームなのだが、このゲームの利点はひたすらに分かりやすいところ。

プレイヤーは基本的に攻撃手段などは持たず移動ができるだけで、各部屋の簡単なミニゲームをクリアして脱出を目指していく。

人狼は近くのプレイヤーを即死させる攻撃手段を持っており、運営から様々な支援を受けながらプレイヤーの全滅を目指していく。

やらなければいけないことが極力簡潔に抑えられており、しかも途中途中に挟まる『議論』パートのおかげで人狼ゲーム本来の話し合いの面白さもしっかり内蔵している。


「説明はこんな感じかな。正直このゲームは見てもらった方が理解が早いと思うから、早速一回戦始めちゃうよ!」


シオン先輩の言う通り、百聞は一見に如かず。

一応事前にみんなで一度テストプレイをしてあるので、めちゃくちゃにグダることはないだろう。私もその都度思い出しながらプレイしていくつもりだ。


「あ、それと注意点として、完全に身内かつ全員初心者なので、マナーとかは最低限のかなりゆるゆる仕様でいきます! 今回の配信に限った話じゃないけど、やらかしちゃった人とかがいても絶対にコメント欄で悪口とかだめだよ! それじゃあ一回戦スタート!!」


シオン先輩の掛け声と共に画面が待機所から切り替わる。当然だがここから私たちはコメント欄を見るのは禁止だ。

さぁ初の全員参加の超大型コラボ、楽しんでいきましょう!



【あとがきという名の補足】

今回から始まります監禁人狼、お分かりの方も多いと思いますが某宇宙人狼がモデルで、それを文章だけでも伝わるように更に簡略化したものになっています。

宇宙人狼からの変更点は勿論、宇宙人狼を見たことがない人でもすぐにどういうものか理解できるように、1回戦は説明を多く交えながら書いていきますので、今回もよろしくお願いします。

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