第7話 陽の光

陽の光



「・・・・・・て、早くお・・・・」


誰かが俺の頭を叩いている。まだ外は暗いのに俺を早く起こそうとしている。もっと寝てたいと言おうとしたが、


「オイラの仕事だぁぁぁ!」


ハーツの声と同時に俺の腹に押し潰す様な痛みが走った。


「ゴラァ! なにしやがんだよ!」


俺は完全に目が覚めた。激おこ状態で。


「あらぁ、起きたじゃない」


ローズが俺のベットの淵に腰掛けている。部屋の中をよく見渡すと皆んなが俺の部屋に集まっている。


「あれ? 皆んな俺の部屋で何してんの?」


「お前起きるの遅せぇぞ! 明日の朝ははえぇって言ったろ!」


いやいやいや、外すっげー暗いけど!? 修学旅行初日の朝ですかお前らは! まぁいい、問題は誰が俺を攻撃したのか? それだけじゃ!


「誰が俺の腹に攻撃を仕掛けやがった!」


ヒナがそっと手をあげた。そして、


「私はただ、シュウの荷物を持ってあげようとしたの、そしたら、ハーツがオイラの仕事だぁぁぁって荷物を取ろうとしたからビックリしてハーツを吹っ飛ばしちゃったの。・・・私、悪い子?」


泣きそうな顔で弁解しないでくれよ、


「許すしかないじゃないか。ヒナは悪くないよ、全部ハーツのせいなんだね、任せてくれ」


「待ってくれよシュウ。オイラは吹っ飛ばされただけだから悪くない」


部屋から逃げるように出ていったハーツを全速力で追いかけて行った。

そんな事で俺たちの旅は始まった。

トカゲ山脈につくには三日間かかる。三日間は毎日早起きしてスライムを倒し、スケルトンも倒しす。魔物を沢山倒し、やっとの思いでトカゲ山脈に到着した。

今はだいたい午前三時くらい。リザードマンが大量にいるトカゲ山脈を見上げ、


「ここがトカゲ山脈か〜。普通だな」


「うん。普通だね」


「普通だな!」


男チームはそれぞれの感想を口にした。俺たちは早すぎる朝食を食べた。丸くて少し硬いパンとハム、赤い木の実。りんごに似ている。


「全員気を引き締めろ! リザードマンはリザードマン。俺らに興味がなくとも襲ってくるやつがいるかもしれない!」


「「「了解!」」」


「オイラも了解♪」


トカゲ山脈に道はなく、自分たちで安全なルートを探すしかない。休憩するには頂上付近の広いところに行く必要がある。今いるところは目的地の四分の一の高さくらいのところだ。


「あら。綺麗じゃない」


ローズの言葉に全員の足が止まる。


「わぁ、凄く綺麗です」


そしてヒナの声でゼクサス、ハーツ、そしてシュウが後ろを振り向く。

皆んなの視線の先では朝日が昇っていた。オレンジ色の光に照らされて、空が青くなり、雲が燃えている。下の方に見える村や平地を美しく照らしていた。夢のような景色だった。

俺はヒナに、朝日が綺麗だねと声をかけようとして言葉が詰まる。


「わー」


ヒナが息を飲むように声をもらす。朝日に照らされたその少女はとても美しく、まるで女神のようだった。今はスキルを発動してないのだろう。こちらの気持ちに気付かずにいる。


「綺麗だな」


ゼクサスが珍しく弱々した声で囁いた。他の皆んなは聞こえないような小さな小さな声だった、俺にしか聞こえない小さな声。


ゼクサスが小さな声で喋るなんて珍しい事もあるもんだなと思っていてふと気付く、ゼクサスの視線の先にはヒナがいた。

ヒナを見つめるゼクサスの瞳は真っ直ぐで、とても綺麗だった。


多分ゼクサスはヒナの事が好きなのかもしれない。

何だろう、ムカムカしてくる。


不思議な感覚を覚えてしまった。



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