第5話 愉快な奴
俺の意識は、暗いところにいた。
ここはどこだっけ?
真っ暗だった視界が段々と覚醒する。
なんで俺はベットの上にいるんだ? そうだ、スケルトンナイトに腹を刺されて、あれ? スケルトンナイト倒したっけ?
ゼクサスとハーツがベットの脇で俺を見て、喜んでいた。
「やったぜ。目が覚めたぞ!」
「オイラ心配し過ぎて死にそうだったよ〜」
凄く心配をかけたようだ。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ」
俺がそう言った途端、
「何言ってんだ! 俺ら家族みたいなもんだろ! 」
「オイラはフツーに心配したよぉぉぉぉ! 」
ゼクサスとハーツに、少し切れ気味で言われた。
そこまで心配してくれてるとは思わなかった。
念の為確認するが、俺は人が苦手だ。ゼクサスはスキルのせいなのか嫌いじゃない。でも、まだパーティー全体を信用出来ない。俺はいじめられていたから、簡単に人を信用出来ない。まぁ、他にも理由はあるけどな。
そんな事を考えていて大切な事に気が付く。
「そうだっ! ヒナは? ヒナは何処だ!?」
なんで大事な事なのに忘れてたんだ。俺の恩人だぞ! そして何より、ヒロインなんだぞ!
「安心しろ。ヒナなら無事だぜ!」
ゼクサスが親指をたててキメ顔をする。
「とりま安心したから寝るわ」
フゥ〜。危なかったぜ、俺のへまのせいで人が死んでしまうところだった。気を付けなきゃな。
「ところでさぁ〜。オイラ気になる事があるんだよね」
「・・・・・・?」
俺が不思議そうにしているとハーツは続けて言った。
「オイラ達の事、信用してないでしょう?」
! マジか、気付かれた!
「いやいや。そんな事ないよぉ。ははっ。面白い冗談だな・・・・・・」
真顔でハーツが見つめてくる。冷や汗が止まらない。
「オイラね、スキルで人が信用してるくれてるかどうか分かるんだよね」
あぁ〜。確か前にそんな事言ってた様な? いや、言われてねぇよ。てか皆のスキル聞いてなかったじゃん俺!
「オイラさぁ〜、今君が何考えてるかなんてどうでも良いけどさぁ・・・・、」
ゴクリ。やばい完全に殺される。どうする? 俺の剣は何処だ!?
ゆっくりとハーツが近ずいてくる。そして、
「何でオイラが一番信用されてないんだよ! 」
大声を出されて驚いた。驚いた理由は大声以外にもあった。
「オイラ最初に君に剣あげたよね? たくさん魔物の事教えたよね!? ゼクサスはスキルのお陰で一番信用してるのかもしんないからしょうがないけどさ、他の女二人は君になんもしてないよ!?普通はオイラを二番目に信用するでしょ!」
何で怒らない? その事にさらに驚く。
「オイラに早く理由を言え!」
怒らない事に何故かイラッとしてしまった。
「何で怒らない。色々教えたのに、一緒にいたのに何で信用しないんだって、もっと怒れよ! 」
どんどん強くなる俺の言葉にゼクサスが何か言おうとしたのをハーツが止める。
「信用してくれなかったのは最初から知っていたよ。だから人を簡単には信用出来ない理由があると思った。それにね、君は異世界から来たんだろ? そう簡単にオイラ達の事信用出来ないと思ったんだ。君は良い奴だから少なくもとオイラは一方的に君を信じる」
俺が元いた世界では、ほとんどの人間が俺を信用しなかった。だからだろうか、凄く救われた気がしたというか嬉しかった。
「怒るだとかそんな事はどうでも良い! オイラを信用してくれぇぇぇぇぇぇえ!」
ハーツの事をもっと理解した気がする。初めて人を知った。良い奴もいると、
「分かったよ。皆んなを信じる」
俺が笑顔でそう言うと、
「何言ってんの? オイラだけを信じればそれで良いの!」
えぇぇぇぇぇぇ! どこにキレてんだよ。
なんて愉快な奴なんだろう。
自然と笑みがこぼれてくる。
俺はゼクサスと目を合わせ心の底から笑い転げた。ハーツの声がおさまらない部屋の中、
「今日は良い天気だなぁ、なんつってな」
俺は窓から見える空に呟いた。
美しいほど吹き抜けた空を春の匂いが飛んでいた。
▪▪▪▪
『エラーを感知・エラーコード003 』
「やはり奴らは消し去るべきだ」
女性のような無機質な声と、低い声が世界のどこがで響いていた。
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