第4話 呪骨騎士
はい、急なんですが諸君、俺はビビっている。
なぜならば、金の鎧を着たスケルトンと戦っているからである。
見た目めっちゃ怖いよ! 中ボスみたいな雰囲気だもん。
金の鎧のスケルトン(スケルトンナイト)こいつの骨と鎧、装備は凄く高く売れる。高級ステーキを四十皿食べれる。元の世界で言うと、ざっと九十四万円くらいだ。戦わずにはいられない。
「コイツがこの辺りにいるのか分からないが油断するなよ!」
ゼクサスの忠告を受け、距離を置いて炎魔法でジワジワと体力を削る。
この世界の魔法は弱い、炎を飛ばしたり、雷を落としたりする様なものと、身体強化系しか無い。だから中距離、遠距離で体力を削る為に使用するのがこの世界の鉄則だ。
スケルトンナイトが少し焦げてきた。
「今だ! 全員で畳み掛けろ!!」
ゼクサスの掛け声で一斉にスケルトンナイトに斬りかかる。スケルトンナイトはあっという間にボロボロになる。
あともう少しだ。
この辺りから考えると、スケルトンナイトはだいぶ強い。だけど俺らはこの周辺で最強のギルドパーティーだ。
ゼクサスがトドメを刺そうとした時だった。
スケルトンナイトが全身から紫色のオーラを纏った。
「しまった。奴は魔法適正があるのか!?」
ハーツが叫んだ。
魔法適正とは、魔法が使える魔物の事を指す。そもそも魔物は魔法が無くても十分強い。
奴が使った魔法、あの紫色のオーラを纏う魔法は身体強化魔法だ。
ゼクサスはトドメを刺す直前、転けてしまった。
目の前で血飛沫が上がった。ゼクサスが斬られた。スケルトンナイトは先程よりも格段に速度を上げている。次々と仲間が吹き飛ばされていく。
相手は強くなった。しかし、弱っている事に変わりはない。
「うおぉぉぉぉぉぉ!」
俺は全力で相手を切り刻む。だが、全て防がれたしまった。俺が油断したところをスケルトンナイトは見逃さなかった。
鋭い刃が振り落とされてくる。
血飛沫がまた上がった。
俺の目の前で。
俺が斬られる寸前、ヒナが俺の前に飛び込んできたのだ。
ハーツとローズがスケルトンナイトの気を引く為にスケルトンナイトに飛びかかっていった。
俺は今のうちにヒナに応急処置する為に、回復魔法をかける。思った以上に傷が深い。
早く村の医者に見せないと!
俺が悲しみに顔を歪めていると、
「シュ、ウ。そんな・・・に、悲しい顔しなくて良いよ。アイツ倒して美味しいもの皆で食べ、ようね・・・」
ヒナが弱々しく口を開いたが、それっきり動かなくなる。
「ヒ・・・ナ?」
体を揺さぶってみるが、何の反応も無い。
俺は怒りに燃えている。身体が熱くなってくる。なんの恐怖も感じない。
アイツをぶっ倒!。それしか考えられない。
「はあああぁぁぁ!」
俺は自分に身体強化魔法をかけ、思いっきりスケルトンナイトとの距離を詰める。止まることなく連撃をあびせる。
「シュウ! 下がれ! 一人じゃ危ない!」
皆の声も無視して剣を振りつづける。
俺が油断したせいでヒナが死ぬなんていやだ!
さらに斬る測度を上げる。
俺の目の前で人が死ぬなんていやだ!
スケルトンナイトの斬撃の速度も上がる。
絶対にぶっ殺す!
俺が怒りに飲まれた瞬間、
「クッ、・・・」
俺の腹に奴の剣が刺さった。それでも剣を振りつづけた。
もっとだ! もっと速く! もっと強く!
「うぁぁぁぁぁぁあ!!!」
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